新型コロナウイルスの感染拡大により、今年はパチンコ業界も極めて厳しい状況に陥っている。未曾有の事態ではあったが、緊急事態宣言は一旦、5月25日をもって全国すべてで解除された。5月20日には改正された規則の付則が施行され、旧基準機の経過措置が一年間延長した。今回は、それらの要因をふまえた2020年の業界展望について考えてみたい。
1.今年の遊技機設置台数・販売台数へ影響を与える事案
今年の業界展望への影響については「新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言と休業要請」に尽きるといえるだろう。2月末に北海道で感染の拡大が始まり、北海道では大手ホールが自主休業や時短営業を行った。全日遊連も「新型コロナウイルス感染症対策に伴うホールの宣伝広告への配慮について」を各都府県方面遊協に発出、これを受けてダイナムは3月16日から当面の間、最新台導入を自粛すると発表した。
3月に入ると東京都でも感染拡大がはじまり、3月25日には小池百合子知事が「感染爆発 重大局面」として、不要不急の外出の自粛を要請。ダイナム、マルハンをはじめガイア、やすだ、エスパス、メッセなど多数の大手ホールが4月4日と5日の自主休業を決めた。4月7日には安倍晋三首相が「緊急事態宣言」を発出。対象は7都府県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・大阪府・兵庫県・福岡県)だったが、4月16日には対象を全国に広げた。
4月11日以降、東京都、神奈川県を皮切りに特措法に基づくパチンコ店への休業要請が始まり、全国44都道府県で休業要請がなされた。パチンコ店に休業要請がなされなかったのは、休業要請自体をしなかった徳島県、休業要請はしたものの対象にパチンコ店を含めなかった高知県のみだった。ちなみに岡山県は、特措法に基づかない県独自の「営業自粛要請」をパチンコ店に行った。
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、メーカーの新台納品にも大きく影響し、海外から部材が入らず発売延期が相次いだ他、納品先のホールが休業中でありキャンセルも相次いだ。2020年5月末時点での新台販売台数は、弊社調べではパチンコ約405,000台、パチスロ約256,000台と非常に低迷している。
ただし、旧基準機の経過措置が一年間延長したとはいえ、現時点で設置されている旧基準機は未だパチンコで50%程度、パチスロは60%以上あるのが現状だ。では今年の新台購入は、どのようなものになるのだろうか。