【特別寄稿】2022年 パチンコ業界の展望と、市場および販売台数の予測(WEB版)/鈴木政博

2. 今年の遊技機設置台数・販売台数に影響を与えるポジティブ要素
現時点では、残念ながら2022年の遊技機設置台数に影響を与える「ポジティブ要素」について大きなものは少なく、非常に限定的となりそうだ。ただし新台販売台数については、ぱちんこ機については一定の期待感がある。一方パチスロ機についても2,400枚上限緩和についての正式リリースを待つまで何とも言えないが、これにより「低ベースAT機」については6号機当初の性能と比較すれば一定程度の改善は見込めそうだ。

新台販売においてポジティブ要素と思われるのは、ぱちんこ機については「C時短を使った新たなゲーム性」が続々と発売される見込みで、これらの中から大ヒット機種が出てくれば、需要が一気に広まる可能性はある。また「P大工の源さん 超韋駄天」を先駆けにハイスピード機の大ヒット機種が相次いで発売された流れも勢いは留まっておらず、こちらのジャンルも好調を維持しそうだ。

パチスロの新台販売については、2,400枚上限緩和後のAT機に期待される。ここでヒット機種が生まれてくれば、現状の大幅縮小傾向から底を打つ可能性は十分にある。

また、スマートパチンコ、スマートパチスロと呼ばれる「管理遊技機」にも注目だ。当初は今年の6月~8月頃の登場が予定されていたが、こちらはユニット面の部材不足も含め、全体的には時期が遅れつつある現状が聞かれる。ただし、ぱちんこ、パチスロどちらも緩和部分はありそうで、正式な発表がされるまで期待感を持って待ちたい。

3. 今年の遊技機設置台数・販売台数に影響を与えるネガティブ要素
遊技機設置台数についてのネガティブ要素は、言うまでもなく今年1月末での「旧基準機の完全撤去」だ。特にパチスロについては減台してベニヤにしたり、パチスロ専門店を中心に、一部ぱちんこ併設店でも閉店のアナウンスが続々と聞かれる状況となっている。2022年中に、2021年の水準まで遊技機設置台数が復活する可能性は絶望的だ。

今年の新台販売数という視点で見ると、やはり今年の最大のネガティブ要素は「旧基準機の完全撤去による新機種購入意欲の低下」と「オミクロン株の感染拡大の影響による稼働低下で入替予算が減少」する可能性の2点が大きいだろう。昨年~今年1月まで、旧基準機の完全入替で入替コストが大幅に上昇したことで、今年は新台の買い控えを考えるホールも増えそうだ。また昨年秋以降の、新型コロナウイルス感染拡大が一時的におさまっていた時期の稼働を見ても、コロナ前と比較すると8割程度までしか戻らなかった。ここからさらに、オミクロン株による飲食店の時短営業が広がってくれば、外出する人が減りぱちんこ店も夜の稼働が伸び悩む可能性は否めない。ホールの稼働が落ちれば当然、新台購入予算も減るだろう。

さらには、部材不足での販売時期延期が昨年後半は相次いだが、全世界的なオミクロン株の大流行で、こちらもいつ、安定的に部材が調達できるようになるのかわからない点も、遊技機販売についてはネガティブ要素となるだろう。

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