3. タイプ別の遊タイム親和性
ミドル、ライトミドル、甘デジなど様々な確率帯の機種がある中で、それぞれの遊タイムとの親和性には違いがありそうだ。
まずぱちんこ機の場合、パチスロの天井と最も違うと思われる点は「時間消化ゲーム数」だ。パチスロの場合、一時間に最大で800G程度を消化する事が出来る。一方でぱちんこ機の場合、最近の液晶機は一時間に300Gを消化できる遊技機は少ない。したがってミドル帯の機種の場合、例えば遊タイムが950回であれば0回転から950回転を消化するには4時間近くの時間が必要となる。パチスロであれば、打つ前から腹を決めて「2万円、一時間強まで」といった天井勝負もできるが、ぱちんこで「4万円、4時間勝負」といった選択肢は金額的、時間的にも若干ありえない。そういった意味で、まずミドルタイプについては遊タイムとの親和性は低そうだ。
さらにいえば、ミドルタイプは突入率を50%程度にしてRUSH出玉に重きを置いた機種が多い。このような機種においては、遊タイムを搭載した分、RUSH出玉が少なくなってしまう懸念や、また遊タイム直前で大当たりしてしまった場合、RUSHに突入しないと失望感が大きいなど、かみ合わせが悪い部分も目立つ。ミドルタイプに遊タイムを搭載する場合は「Pとある魔術の禁書目録」のような100%突入タイプであれば、いつ当たっても単純に嬉しいだけでなく、RUSH出玉に突出する必要もないため親和性は高いかもしれない。この機種は、2.5倍程度の800回に設定されているのも打ちやすさを感じられて良い。
また常に「遊タイムまでの表示」をするのもミドルタイプではデメリットに感じてしまう部分が多そうだ。例えば「遊タイムまで残り900」といった表示が出ていると、319分の1で抽選しているため別に900回転ハマるわけでもないものの、何となく「4万円以上必要?」といったイメージを抱いてしまうファンも多いだろう。
一方で「ライトミドル」「甘デジ」は、遊タイムとの親和性は高いと考えられる。例えば1/199のライトミドルの場合、2.5倍であれば遊タイムを500回に設定できる。500回程度であれば「二時間勝負」ができるし、1/199という点も踏まえれば投資も1~2万円程度で済む場合が多い。実際に、1/199で遊タイム500回は「Pモモキュンソード」など実績のある機械が多数ある。これらは親和性が高いと言えるだろう。
最後に甘デジの場合だが、遊タイム非搭載の機種(PA花の慶次~蓮など)や、ヘソに小当たりを設けて実質1/99.9だが遊タイムは777回に設定した「P戦国乙女6」の甘デジなど、甘デジタイプに関しては遊タイムがなくともある程度は動く。また「PAわんわんパラダイス」を例にとると、1/99.9だが遊タイムは250回に設定されており、初当たりでRUSHに入らなければ時短50回を消化した時点で左打ちに戻るので、実質200回転で遊タイムに到達する。「Pフィーバーパワフル」の場合も、遊タイムは292回であるものの、もしも10Rを引いて時短100回をスルーしてしまった場合は、STの8回転を除いて残りは200回となる。大当たり確率1/99.9で、最悪でも200回しかハマらないと考えれば、これは安心して打てる。甘デジの場合は、ヤメ時を無くすという使い方でも、遊タイムが機能している例といえるだろう。
パチスロ6号機の状況が厳しい中、ぱちんこ機がファン減少の歯止めとして一定の貢献をしている現状は明らかだ。ストックタイムや上位RUSHなど、新しい見せ方の機械も目立つ。遊タイムの是非やc時短の使い方なども含め、今後のぱちんこ機に期待したい。
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■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。