ダイコク電機㈱(根本弘代表取締役)は7月5日、都内文京区の東京ドームホテルで「DK-SIS白書2018年版-2017年のデータ-」の発刊記者会見を開催。2017年のホール業界の市場規模は総売上18.6兆円(前年比1.5兆円減)、総粗利2.91兆円(同2,000億円減)となり、これまで辛うじて維持していた粗利3兆円のラインを割り込む結果となった。
記者会見では、同社DK-SIS室の片瀬宏之室長が白書の要点を解説した。SIS会員ホール企業の業績平均値をもとに推計した全国ホールの業績(平均値)は、アウト(稼働)がパチンコ12,380個(前年比610個減)、パチスロ6,395枚(同70枚減)、台売上はパチンコ10,800円(同1,400円減)、パチスロ15,500円(同増減なし)、台粗利はパチンコ1,790円(同160円減)、パチスロ2,260円(同20円減)、店舗平均の台粗利1,970円で、片瀬氏は「売上や粗利の低下が懸念される新規則機の導入が始まる前に、店舗平均の台粗利が2,000円を切った。今後もアウトが上がらない限り、粗利は下がっていくだろう」と悲観的な予測を示した。
業績推移はパチンコ下落、パチスロほぼ横ばいと、ここ数年同様の傾向が続いた。会員ホール企業の4円パチンコの業績(平均値)は、アウト14,660個(前年比1,000個減)、稼働時間2.94時間(同0.2時間減)、売上21,723円(同2,742円減)、粗利、3,320円(同302円減)、時間売上7,380円(同400円減)、時間粗利1,130円(同20円減)。
2016年にマックスタイプ機が完全撤去となったこともあり、2017年の4円パチンコの業績は特に売上、粗利の下落幅が大きい結果となった。この点について片瀬氏は「大当りまでの投資金額が下がったことから本来、ホールは遊びやすさを打ち出し、アウトを上げる1年にすべきだった。しかし時間粗利はほぼ横ばいなことから、遊びやすさを打ち出したとは言えない。時間粗利の全国平均が1,000円を下回らない限り、アウトは上がらない。時間粗利を改善しない限り、高粗利、アウト減、粗利減という負のスパイラルから抜け出せない」と指摘した。
一方のパチスロは、主流の20円パチスロの会員ホール企業における業績(平均値)はアウト8,993枚(前年比100枚減)、稼働時間4.54時間(同0.05時間減)、台売上25,557円(同225円減)、台粗利3,636円(同51円減)、時間売上5,630円(同20円増)、時間粗利800円(同増減なし)という結果になった。
「新基準に該当しないパチスロ機(旧基準機)の活躍により業績はほぼ横ばい」(同)と説明した上で同氏は、2017年10月以降に導入された5.9号機の稼働貢献(及び総合貢献)に関するデータを公開。対象となる30機種中、稼働貢献したと判定できる機種が僅か1機種しかなく、特にノーマルタイプ以外に至っては全ての機種が償却未達成という結果を明らかにした。
今後の見通しは、2018年こそ、これまで同様の傾向で推移すると見られるが、2019年以降は業績を支える旧基準機を減らさなくてはならない、5.9号機は業績貢献にあまり期待できない、6号機は現時点で未知数と、不透明な状況であることが伺える。
記者会見の冒頭、主催者の同社・根本弘代表取締役は「ファンが減り続けているなか、まずは今いるファンを満足させることを考える必要がある。今いるファンを満足させることができなければ新たなファンは増えない。今後もダイコク電機ではSISデータを駆使し、ファンの満足度を上げていくことで業界の発展に寄与したい」と挨拶した。
「DK-SIS白書」は、同社製のホールコンピューターを通じて得られる全国ホールの営業数値をもとに、ホール営業に関わる各種統計データ(DK-SISデータ)をまとめ、年に1回、書籍化したもの。DK-SISの会員数は3,638でデータ送信遊技機台数は約146万台(何れも2018年3月末時点)。市場全体(444万台)の約1/3をカバーしている。
白書の要点を解説したDK-SIS室の片瀬宏之室長