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【特別寄稿】「2017 規則改正案」の考察/鈴木政博の遊技産業考現学(WEB版④)

投稿日:2017年7月11日 更新日:

6月19日に警察庁が業界6団体を招集し規則改正案について提示。6月末までに要望を聞き、7月11日、警察庁ホームページにてパブリックコメントの意見募集開始とともに改正案の詳細が開示された。今回は、この改正案の要点について解説したい。

→「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」の解説はこちら
→「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」のぱちんこ遊技機に関する解説はこちら

1.最大出玉の見直し
今回の改正について大きくポイントを挙げるとすれば、

1.最大出玉の見直し
2.ぱちんこ遊技機に設定を許可
3.出玉率試験内容の見直し
4.管理遊技機許可のための一部改正

となる。今回の改正の「新旧対照表」を掲載すると文字量が莫大になるため、今回は要点を絞ってまとめて解説したい。まずは最大出玉の見直しから。下記(別表1)をご覧いただきたい。

(別表1)現行規則と規則改正案の比較(大当たり上限)
■ぱちんこ遊技機

現行規則 改正案
大当たり出玉 セーフで2400個(最大16R) セーフで1500個(最大10R)
MNRS MNRS≦12 MNRS≦10

■パチスロ機

現行規則 改正案
大当たり出玉(第1種) 465枚超えで終了(最大480枚) 285枚超えで終了(最大300枚)
大当たり出玉(第2種) 253枚超えで終了(最大268枚) 153枚超えで終了(最大168枚)

パチンコは現行規則では「16R×10C×15賞球=2400個」が最大だったものが、改正案では「10R×10C×15賞球=1500個」が最大セーフとなる。最大差玉では1400個程度がMAXだろう。さらにパチンコはMNRSも見直した。このMNRSとは「大当たり確率の上限規定」であり、日工組内規の「320分の1より甘くする」という大当たり確率下限規制の逆にあたるものだ。つまり「あまり大当たりが出すぎるのは射幸性をあおる」ことから、あまり甘く設定できないよう定められているもの。現行規則ではMNRSとして「M(平均確率) × NRS(2400個) ≦ 12」が適用されていた。その前の規則では「M(平均確率) × N(16R) ≦ 0.08」だった。平均確率とは、通常時と確変中との確率を合わせると、つまり何分の1で当たる台か、という数値だ。どちらも共に「オール2400発機であれば、平均確率は200分の1より甘くできない」という点で共通していた。それが今回「M(平均確率) × NRS(1500個) ≦ 10」となる。単純に「オール1500発機であれば平均確率は150分の1より甘くできない」となるが、この変更はどう解釈すればよいか。これについては「MNRS≦12」が「MNRS≦10」になったため、改正案以降のオール1500発機で考えると、現行規則なら「平均確率125分の1」で開発可能であったのに対し、改正案だと「平均確率150分の1」より甘くはできない、となる。

しかし実はこの部分、6月19日の案では「MNRS≦7.5」だった。つまりこの時点では、「オール1500発機になっても、やはり平均確率の上限は200分の1」だったのだ。これが少なからず「オール1500発機なら平均確率の上限は150分の1」までOKになったのは、かなり大きな緩和といえる。というのも「甘デジ」「ちょいパチ」を開発するにあたっては、相当に重要な問題となるのは当然ながら、実は一般的なミドル機種も「MNRS≦7.5」では非常に厳しい状況に陥っていたからだ。例えば現在設置されている三洋物産製「CRスーパー海物語IN沖縄4 MTC」は、最大セーフが1536個と、規則改正後に1500個に制限されてもほぼ同一のスペックは開発可能だと考えられていた。しかし、この沖海4のMNRSは9.07であり、6月19日案の「MNRS≦7.5」だと開発不可能となってしまう。これが「MNRS≦10」となったため、沖海4は「10ラウンド1500個」にさえすれば、ほぼ同一スペックは申請可能となった。ただし後述するが、適合率についてはまた別の問題がある。

次にパチスロ。こちらもパチンコの1500個に合わせ、コインが玉の5倍の貸玉料であることから、ボッグボーナス(第1種)は最大300枚までにするために「285枚を超える払い出しで終了」、CT(第2種)は「153枚を超える払い出しで終了」と変更された。例えば代表的なAタイプ機種として第1種ビッグボーナス搭載の「アイムジャグラー」シリーズと比較してみると、ビッグボーナス中が「1枚入れ・14払い出し」の場合だと、今までは「336枚の払い出しを超えると終了」だったため、純増枚数は325枚だった。改正案では「1枚入れ・14払い出し」のままだと払い出し294枚の時点で終了し純増273枚、「1枚入れ・15枚払い出し」にすれば300枚払い出しまでいって純増280枚となる。実際に適合するかどうかは別として、これが6号機のMAX値だ。

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