(前篇)(中篇)にわたり「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」の概要と、ソフィア製「CR交響詩篇エウレカセブン~真の約束の地~アネモネVer.」平和製「CR逆転裁判249ver.」の仕様について書いた。今回は後篇としてマルホン製「CRソルジャー」の仕様と、今後の「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」の問題点などを引き続き書きたい。
1.マルホン製「CRソルジャー」の概要
すでに導入が進んでいるマルホン製「CRソルジャー」だが、この機種はソフィア製「CR交響詩篇エウレカセブン~真の約束の地~アネモネVer.」や平和製「CR逆転裁判249ver.」と比較すると大きな違いが2点ほどある。
まず大きなゲーム性として違うのは、前2機種が「ST機」であるのに対し、このソルジャーは「次回ループ機」であるという点だ。ST機という限られた回転数の間だけが小当たりRUSHで玉が増えるのに対し、この機種は1回の大当たり間で、極端に言えば「どれだけ玉が増えるかわからない」という仕様になっている。確変中は約40.3分の1だが、「確変中にハマればハマるほど玉が増えていく」という新規性のあるゲーム性だ。
もちろん逆に数回転で当たりを引いてしまい、ほとんど玉が増えないまま終了してしまうこともある。しかしホールで見る限り100回転以上続くことは割と容易に見かけるし、200回以上続いているのも見ることができた。そういった意味では「確変中にいかにハマれるか」という点が獲得出玉に大きく影響する機種といえる。
そして2つ目。これは盤面を見た瞬間に明らかに違うのだが「特図2の電チューがある」という点だ。ソフィア製「CR交響詩篇エウレカセブン~真の約束の地~アネモネVer.」には電チューはなく、平和製「CR逆転裁判249ver.」は電チューはあるが、これは特図1に対応したものだ。したがって、ともに特図2は「ヘソ」であり、電チューは非搭載だった。本来であれば、特図2に電チューが搭載できるのなら、搭載した方が様々な点で良さそうだ。しかし前2機種はヘソ。これには理由がある。もともと「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」には「電チューは搭載できない」のではないかと考えられていたからだ。
2.「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」と電チュー
そもそも、この「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」とはどのようなものかというと「変動時間が変化することによって出玉率が変化する」ものを指す。簡単に言うと、通常時は特図2が600秒程度変動するため、小当たりは600秒に1度しか発生しない。したがって玉は増えない。しかし確変中は、2秒程度しか変動せずに即停止するため、頻繁に小当たりが発生して玉が増える。この仕組みについての質問書とその回答は、以下のものだ。
「変動パターンの選択確率を変化させた結果の出玉率」について
【質問事項】
遊技状態により、変動パターンを変化させることで、特別電動役物の作動回数の期待値(小当り及び中当り(注1)となる場合の数)が増加し、特定の遊技状態(注2)中の出玉率が1を超える状態が存在しても問題はありませんか。注1)小当り、中当りとは、役物連続作動装置が作動していない場合において、特別電動役物の1回の作動により、大入賞口が1.8秒以内で開放する特別図柄の組合せをいう。
注2)特定の遊技状態とは、別表第四(1)ホ(ロ)解釈基準中、「遊技機が、普通電動役物に係る入賞口の開放等の時間、入賞が容易となるように変動させる場合」以外の状態をいう。
【回答結果】
提出日:平成25年12月6日
回答日:平成26年3月20日
回答者:警察庁
結果:下記のとおり。問題ない。ただし、当該質問の性能が、遊技の状態により変動パターンを変化させることで、遊技の結果に影響を与える性能と判断される場合は、別表第四(1)チ(イ)解釈基準の「遊技の結果に影響を与える性能」であると解し、本規定に抵触する。
さて、この文書の中で注目すべき点は「注2) 特定の遊技状態とは、別表第四(1)ホ(ロ)解釈基準中、「遊技機が、普通電動役物に係る入賞口の開放等の時間、入賞が容易となるように変動させる場合」以外の状態をいう。」という部分だ。
簡単に説明すると、この質問書は「電サポ中以外の状態でなら、小当たりで玉が増えても良いか?」と質問して、問題ないとの回答を得ている。つまり特図2の変動時間が長い状態、短い状態にかかわらず「電サポ中に出玉率が100%を超えるのはNG」ということになる。したがって前述した「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」には電チューは搭載できない」のではないかと考えられていた、というのはこの点からだ。その流れで、アネモネや逆転裁判は、特図2は電チューでなく「ヘソ」となっていた。では、この「CRソルジャー」はなぜ特図2に電チューを搭載できているのか。