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【特別寄稿】「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」の考察(後篇)/鈴木政博の遊技産業考現学(WEB版③)

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3.マルホン製「CRソルジャー」の電チューの仕組み

本来であれば、特図2を電チューにできるなら、様々な点で良い。たとえば電チューであれば、電サポ中でない通常時にいきなり右打ちをされても特図2が回ることはほとんどない。前号で書いたような「空き台が大当たりしてしまうリスク」も減らせるだろう。また何より、右打ち中の消化が電チューであれば、流れも自然になる。

それでは、なぜこの「CRソルジャー」には、小当たりRUSH機でありながら電チューを搭載できているのか。実際に試してみればすぐにわかるが、実はこの機種は「電チュー搭載機でありながら電サポ状態がない」仕様となっている。

前述したとおり、「電サポ状態に小当たりで出玉率100%を超えるのはNG」だが、逆にいえば、電チューを搭載していても、電サポ状態でない時に小当たりで出玉率100%を超えるのはOK、ともいえる。この「CRソルジャー」は、いわゆる通常時の低確率状態であっても、いきなり右打ちすれば電チューが開いて玉を拾う。そして確変中に右打ちしても「通常時と全く同じ動きで、電チューが玉を拾う」のだ。したがって通常時も確変中も、電チューの開放時間や変動秒数は「全く同じ」であり、いわゆる「電サポ状態」にはならない。このような仕組みで、この機種は「小当たりRUSH + 電チュー」を実現しているのだ。

しかし逆に言えば、右打ち消化時の見た目の爽快感などは別として「電チュー搭載の意味はほとんどない」ともいえる。何より通常時にいきなり右打ちすると特図2が回ってしまうし、空き台が大当たりしてしまうリスクもゼロではない。そのためかこの機種は、特図2には保留がない仕様になっている。いきなり右打ちされても、特図2が回るのは1回転だけで、保留は付かないように対策されている。

ただし今後の「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」の未来を考えると、どんな形であれ「電チューを搭載した」功績は認められるだろう。しかし今後の小当たりRUSH機を考えるに「特図2の保留をどうするか」は大きなポイントとなりそうだ。アネモネ、ソルジャーは特図2には保留がない。当然、空き台が大当たりしてしまうリスク、いきなり右打ちされるリスクも少ない。その点、逆転裁判は特図2に保留がある。リスクはあるものの、特図2に保留があることで、ST中の先読み演出ができるためゲーム性としては非常に広がりがある。

新たなゲーム性としての「SUPER 小当たり RUSH 機能搭載機」が今後どのような方向性で広がっていくのか。今後の開発動向にも注視していきたい。

■プロフィール
・鈴木 政博 ≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫
立命館大学産業社会学部卒業後、ホール経営企業の管理部・営業本部を経て㈱リム入社。業界向けセミナーの開催や新機種FAX情報編集を統括、新機種の導入アドバイザー、経営コンサルタントとして活動。2002年、㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。Mail:msuzuki_u3ken@ybb.ne.jp

※本稿は本誌6月号(5月25日発行)の記事を、一部、WEBサイト用に編集した上で掲載しております。

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