【特別寄稿】管理遊技機について(前篇)(WEB版)/鈴木政博

2. 管理遊技機とは?
現在の管理遊技機は、元々ぱちんこ機で「封入式遊技機」として「ゴト・不正などセキュリティ対策」をメインに議論されていたもので、呼び名が「ECO遊技機」となり、そして現在の「管理遊技機」に至った経緯がある。ゲームセンターに設置してあるぱちんこ機をイメージしてもらえれば分かりやすいが、上皿に透明のケースがかぶせてあり玉に触れず、OUT玉はそのまま循環して発射玉へと送られ、持ち球はデジタル表示される、といった仕様だ。元々は「全メーカー共通枠」での開発を前提としていたが、現在では「少なくとも遊技機表面部分の装飾はメーカーごとに変えられる」仕組みへと変化しているようだ。ではどのようなメリット、デメリット面があるのか。

管理遊技機(ぱちんこ)のメリット

・循環式になる
→ ぱちんこ島、玉、ドル箱などが不要となる
・持ち玉はデジタル表記され、貯玉としてユニットからカードが出てくる
→ 各台計数機が必要なくなる
・玉に触らず遊技出来る
→ 1パチや他店の玉の持込みができない。またコロナ禍以降ではファンに歓迎される
・ステンレスなど非磁性の遊技球になる
→ 磁石ゴトができない
・裏側は全メーカー共通枠となる
→ 2機種目以降の遊技機購入費用が安くなる

管理遊技機(ぱちんこ)のデメリット

・ユニット導入コストがかかる
→ 管理遊技機専用のユニットを新規導入する必要がある
・導入1機種目のコストは膨らむ可能性
→ 2機種目以降の面替入替はともかく、最初の導入はコストアップする可能性がある
・第三者機関がIN・OUTともに常に管理する
→ 健全化を目指す大手法人は歓迎するが、一部で快く思わない店も?

この部分だけを見ると、もし更地から新店をオープンしようとする場合は、非常に魅力的な内容だ。ぱちんこ島をつくる必要がなく、そのコストが必要ないばかりか島が無いことで玉研磨などのランニングコストも必要なく、しかも島がなければ店内が圧倒的に静かになる。島がない分、設置可能台数も増えるし、店内レイアウトの自由度も増す。当然、各台計数機、遊技球やドル箱なども必要ない。磁石ゴトをはじめ、遊技球の持込などゴトへのセキュリティも増す。

一方で、現在営業中の店舗や、居抜きでホールを買ってリニューアルオープンをする場合で考えてみると、既に島や遊技球、各台計数機やドル箱などの設備がほとんど整っている。この状態からだと、ユニット導入コストがプラスアルファで必要になるため、これだけを見ると魅力に欠けるかもしれない。

また現状では、どうなるのかよくわからない部分も多い。新規ユニット導入費用はいくらなのか(初期段階では1本200万円なんて話もあった)、第三者管理機関はどこで、どのようにデータが管理されるのか。また「台枠が空けられず、釘の整備はできない」という話もある。この場合は「設定付きぱちんこ」となるのが前提だが、現状でも設定付きぱちんこ機は特にミドルなどで適合率が低い問題の他に、ぱちんこ機では「玉づまり」や「ぶどう状態」が結構な頻度で発生する。台を空けられないと、これらはどうするのか。もし鍵で開けられるとしたら、その鍵は誰が保有、管理するのか。このあたりの詳細はよくわかっていない。

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