【特別寄稿】管理遊技機について(前篇)(WEB版)/鈴木政博

ではパチスロの場合はどうか。こちらも、海外のカジノでスロットマシンで遊んだ経験のある方はイメージしやすいが、現在のスロットマシンはメダルに触ることは全くない。現金を投入するとメダル数(または金額)がデジタル表示され、ゲームする毎に持ちメダル数が上下する。ヤメる時は、バーコード付きのレシートが出てくるのみだ。ではパチスロ管理遊技機には、どのようなメリット、デメリット面があるのか。

管理遊技機(パチスロ)のメリット

・メダルレスになる
→ 遊技メダル、台間サンド、ドル箱が不要となる
・持ちメダルはデジタル表記され、貯玉としてユニットからカードが出てくる
→ メダル計数機が必要なくなる
・メダルに触らず遊技出来る
→ 5スロや他店のメダルの持込みができない。またコロナ禍以降ではファンに歓迎される
・ゴト対策のセキュリティ強化
→ コインセレクターや投入口がなくなれば、ゴト対策が強化される
・パチスロ本体価格が安くなる
→ コインセレクターやホッパーがない分、安価に設定できる

管理遊技機(パチスロ)のデメリット

・ユニット導入コストがかかる
→ 管理遊技機専用のユニットを新規導入する必要がある
・第三者機関がIN・OUTともに常に管理する
→ 健全化を目指す大手法人は歓迎するが、一部で快く思わない店も?

ぱちんこ管理遊技機との大きな違いは、パチスロは「自動補給」島がそこまで普及しておらず、各台メダル計数機も設置が無い店は多い。更地から新店を出店するケースで考えても、購入しなくてよいのは台間サンドやメダル計数機、遊技メダルやドル箱程度で、ぱちんこ管理遊技機ほど大きなコストダウンは見込めない点だ。

一方で、パチスロ本体価格で考えれば、コインセレクターやホッパーの搭載が必要なくなるのは、かなりのコストダウンを期待できる。現在のパチスロ筐体でいえば、下半分は「中身が空っぽ」になるイメージで、遊技機の軽量化も進む。

ここまで「管理遊技機(スマートパチンコ)」「メダルレス遊技機(スマートパチスロ)」について、メリットやデメリットを考察してきたが、やはり最も気になる点は「どの部分が、管理遊技機実現によりゲーム性として優遇されるのか?」の一点に尽きるだろう。次回はその予測部分も含め、管理遊技機の法的根拠の部分についても触れてみたい。

(以下、次回)

■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。

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