【特別寄稿】2021年 パチンコ業界の展望と、市場および販売台数の予測(WEB版)/鈴木政博

4. 市場の設置台数予測と、販売台数予測
まずは(別表1)をご覧いただきたい。これは全国の「遊技機設置台数」の推移だ。昨年までの数年間、パチンコは減少し続け、パチスロは2016年までは増加が続いていたが2017年にはついに減少に転じた。

これを踏まえて、2020年の市場はどのようになるか。まずはパチンコ。これは減少が続いている傾向に変化はないが、やはり昨年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響より、休業・廃業店の割合は増加している。これに加え今年は、低ぱち専門店など、旧基準機の完全撤去をする予算が捻出できずに廃業する店もかなり増えそうだ。昨年の予測台数は245万台だが、今年は一段と減少して225万台程度まで減少すると予測される。

パチスロに関しても、2017年からはほぼ1%程度の減少が続いているが、今年は同じく旧基準機を完全撤去する予算が無い店や、特にパチスロ専門店は5号機に比べて性能が劣る6号機だけでの営業は厳しい、と廃業する店があるなど、一気に130万台を割り込むのではないかと予測される。

(別表1)遊技機設置台数の推移

次に(別表2)の店舗数だが、ここ何年も「中小規模店が廃業」して「大型店がオープン」する傾向が続いており、店舗数としては毎年5%程度の減少が続いている。今年は廃業店がかなり増えることが予想されるため、ついに8000店舗を切るのではないかと予測される。

(別表2)遊技場店舗数の推移

最後に(別表3)をご覧いただきたい。これは「遊技機販売台数」の推移だ。パチンコは減少、パチスロも2012年をピークに減少へ転じている。パチンコについては、2009年に約350万台だったものが2019年には113万台と3分の1に、昨年にはついに100万台を割り込んだ。

さて今年のパチンコだが、新型コロナウイルス感染拡大による影響はあるものの、沖海4や初代無双、漆黒など一定数の旧基準入替需要もあり、昨年並みに90万台程度は販売台数も確保されそうだ。

一方パチスロは、ファンからの「2400枚リミッターに魅力を感じない」という声が代表しているように、5号機撤去と比較して稼働が低下している。また昨年、一昨年に販売された6号機を倉庫に置いている店は多く、ホールからも「スロは無理に新台をトップ導入しなくても、良ければ後で考える」という意見も非常に多い。売れなかった昨年並みには販売できそうではあるものの、やはり40万台程度となりそうだ。

(別表3)遊技機販売台数の推移

2021年も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてパチンコ業界も非常に厳しい状況が続きそうだ。一刻も早く感染拡大が収まり、ワクチンが行き渡り、日本国民が自由に余暇を楽しめる状況に戻ることを願ってやまない。

(以上)

■ プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。

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