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【特別寄稿】2021年 パチンコ業界の展望と、市場および販売台数の予測(WEB版)/鈴木政博

投稿日:2021年2月26日 更新日:

新型コロナウイルスの感染拡大により、今年は二回目となる緊急事態宣言の発出から始まった。ぱちんこ業界も夜の稼働が低下するなど、改めて厳しい状況に陥っている。東京オリンピック開催についても議論が深まる中、今年のぱちんこ業界はどのような状況になるのか。今回は、それらの要因もふまえて2021年の業界展望について考えてみたい。

1.今年の遊技機設置台数・販売台数へ影響を与える事案
今年の業界展望への影響については「新型コロナウイルス感染拡大の終息」がどうなるか、また「ワクチン接種の進捗度合」や「東京オリンピック開催」がどうなるか等により、大きな影響を受けることになりそうだ。現在この原稿を執筆時点で10都府県では緊急事態宣言が発出中であり、飲食店を中心とした午後8時までの時短営業、日中を含めた不要不急の外出自粛、テレワーク7割実施が要請されており、対象地区では、ぱちんこ店も特に夜の稼働の低下が目立ち大きな影響を受けている。

また昨年末からの「ミリオンゴッド-神々の凱旋-」と「沖ドキ!」により、パチスロについては稼働低下がかなり目立つ状況に陥っている。現状では5号機を超える6号機はほとんどなく、今後の導入が待たれるサミー製「北斗の拳 宿命」には期待感が大きいものの、この機種がファンにどれだけ支持されるかにより、6.1号機、果ては今後のパチスロがどこまで復活するかを、短期的には見極める指標となりそうだ。また長期的には、ファンに最も不評な「2400枚リミッター」がいつどうなるのかが、大きなカギを握る。

新台販売台数では、2021年1~2月末時点納品分までの新台販売台数は、弊社調べではパチンコ約192,000台、パチスロ約83,000台となっておりそこまで悪い数値ではない。ただし今後、東京オリンピックが開催された場合は「入替自粛期間」が発生する可能性が高く、少なからず影響は受けそうだ。

2. 今年の遊技機設置台数・販売台数に影響を与えるポジティブ要素
現時点では、残念ながら2020年の遊技機設置台数、販売台数に影響を与える「ポジティブ要素」について大きなものは少なく、非常に限定的となりそうだ。

新台販売においてポジティブ要素と思われるのは、規則改正による旧基準撤去が、新型コロナによる一年間の延長を経て、年内には全て撤去される点だろう。パチンコでは「CRスーパー海物語in沖縄4」や「ぱちんこCR真・北斗無双」「CR真・花の慶次2 漆黒の衝撃」など、現在でもトップクラスの人気を誇る旧基準機がホールから全て姿を消す。パチスロでもジャグラーシリーズをはじめ、「押忍!番長3」や「魔法少女まどか☆マギカ2」などが全て撤去される。

新台性能では、ぱちんこ機は今後も様々な「遊タイム」や「突然時短」を利用した遊技機が数多く登場する見込みであり、また昨年大ヒットした「P大工の源さん 超韋駄天」のようなハイスピード機が登場してくれば、支持される可能性は十分にある。パチスロは6.1号機仕様の「低ベースAT機」がどの程度ファンに支持されるかがポイントだ。

3. 今年の遊技機設置台数・販売台数に影響を与えるネガティブ要素
今年の新台販売数という視点で見ると、やはり今年の最大のネガティブ要素は「新型コロナウイルス感染拡大の影響による稼働低下で入替予算が減少」している点と、「規則の付則改正の施行により、旧基準機の経過措置が一年間延長したため撤去期間が2年間に間延びした」点が挙げられるだろう。

新型コロナウイルス感染拡大が一時的におさまっていた昨年夏から秋ごろの稼働を見ても、一昨年比では8割程度で完全には戻らなかった。また今年は、年初から緊急事態宣言が11都府県に発出されて、飲食店の午後8時までの時短営業の影響でぱちんこ店も夜の稼働が伸び悩み、またテレワークの推奨で都心部、駅前店の稼働も苦しくなっていると聞く。休業や廃業をする店もあり、設置台数ベースではネガティブな流れが止まりそうにない。

また「旧基準機の経過措置一年間延長」については、昨年業績が苦しかったホールには非常に助かった措置だったことは確かだが、これにより通常一年間で新基準機に総入替されるものが、二年間をかけて入替することとなった。いわゆる「規則改正による新台販売特需」というのはなくなったに等しい。既に一定台数の新基準ぱちんこ機、新基準パチスロ機が昨年までに販売されており、ホールも現時点で設置していなくても倉庫に置いてあるケースは非常に多い。「新台入替orベニヤ」という選択肢だけでなく、撤去した旧基準機の代わりに「倉庫の新基準機を戻す」という選択肢も出てきた。

また旧基準機の入替期間が二年間にのびたことにより、中古機もわりと出回る状況となってきている。無理に新台で新基準機を買う以外の選択肢が増えたのは、ホールにとっては助かる店も多いが、メーカーにとっては販売台数が伸び悩む要因となりそうだ。

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