4. 特措法付則と施行令の改正について
今回、1月7日付で改正されたのは2点。一つ目は措置法の附則第1条2で、同法及び同法に基づく命令の規定を適用する期間を2022年1月31日まで延長する改正。そしてもう一つが特措法施行令の改正だ。
いままでの施行令では、前述した特措法第45条による「施設の使用の制限要請」と「指示」ができる対象に飲食店は含まれていなかった。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令」より抜粋
(使用の制限等の要請の対象となる施設)
第十一条 法第四十五条第二項の政令で定める多数の者が利用する施設は、次のとおりとする。ただし、第三号から第十三号までに掲げる施設にあっては、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えるものに限る。
一 学校(第三号に掲げるものを除く。)
二 保育所、介護老人保健施設その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定する高等課程を除く。)、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他これらに類する教育施設
四 劇場、観覧場、映画館又は演芸場
五 集会場又は公会堂
六 展示場
七 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。)
八 ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)
九 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場
十 博物館、美術館又は図書館
十一 キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設
十二 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
十三 自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援業を営む施設
十四 第三号から前号までに掲げる施設であって、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏まえ、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの
ちなみにぱちんこ店は、九「遊技場」として対象施設に含まれている。ただし条件としては「建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えるもの」で、千平方メートルを超えないものについては厚生労働大臣が特に要請が必要としたものに限られる。今回、この部分に「十四 飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設(第十一号に該当するものを除く。)」が追記され、上記十四が十五に修正された。これにより今後は、飲食店に対しても特措法45条での「施設の使用の制限要請(時短要請)」や「時短営業の指示」を行うことができ、その場合は店名が公表されることとなる。
5. ぱちんこ店への影響は?
今回、菅義偉首相の記者会見では、ぱちんこ店への時短要請は国としては行わず、あくまで午後8時以降の国民の外出自粛に向けて、時短営業への協力を「働きかける」方針だと記者の質問に答えた。
また小池百合子東京都知事も、記者会見で午後8時以降の不要不急の外出自粛を要請していることを受け、人の流れを徹底的に抑制するためとして、映画館や百貨店、ぱちんこ店やゲームセンターなどの商業施設に対しても、「呼びかけ」として午後8時までの時短営業にするよう働きかける方針だ、とした。
この「働きかけ」や「呼びかけ」という発言の解釈をするとすれば、一つは「特措法に基づかない協力要請」だ。もう一つ、東京都については、前例もある「特措法24条に基づく時短要請」をする可能性もゼロではない。ただし東京都は、飲食店や飲食を伴う施設へは「午後8時までの時短要請を行う」かわりに「1日1店舗あたり6万円の協力金を出す」としているのに対し、ぱちんこ店など他の業種に対しては「協力金は出さない」と明確に答えている。この状況から判断すると、まずは「特措法に基づかない時短協力要請を行う」可能性が高い。
前述したように前回、東京都では「特措法24条に基づく休業要請」であっても、都遊協は組合員に休業要請をせず執行部が総辞職する混乱となった事を考えると、今回は、一都三県の組合が組合員に「時短要請」を行う可能性は極めて少ないと考えられる。ただしこれは「現状の状況では」という視点であり、今後、さらに感染が爆発的に拡大するような事態になった場合は、今の「時短営業」という方針も含めて修正される可能性も否定できないだろう。また現状だけでも、外出自粛であるため夜8時以降の稼働に影響するのは必至だ。
年内に旧基準機の完全撤去というマストの課題を抱える中、ただでさえ稼働が低下している渦中での再度の緊急事態宣言となった。非常に厳しい状況ではあるが、業界全体が結束してこの苦境を乗り越えていくことに期待したい。
(以上)
■ プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。