【特別寄稿】ぱちんこ遊タイム機の現状について(WEB版)/鈴木政博

遊タイム機能が搭載されたぱちんこ遊技機の導入が始まって一年以上が経過した。旧基準機の完全撤去が年明け1月末までと迫る中、今後この遊タイム機能はどのようなトレンドになっていくのか。今回はぱちんこ機の現状と、今後の方向性について考察してみたい。

1. 「Pスーパー海物語 IN 沖縄5」について
現在、登場する多くのぱちんこ遊技機に遊タイム機能が搭載されている。この一年間で「遊タイム」という言葉や機能は、ファンにもかなり浸透したと考えられるが、今回発売が決定している今年最大の注目機種である三洋物産製「Pスーパー海物語 IN 沖縄5」には遊タイムが搭載されていない。当初のウワサでは、遊タイムが搭載されたスペックが適合し発売されるとの情報もあったが、7月5日から設置されるスペックとして発表されたものは遊タイム非搭載のものだった。

まずは海物語シリーズについて見てみると、直近に発売された「P大海物語4スペシャル BLACK」にも遊タイムは搭載されていない。逆に昨年導入された「P大海物語4スペシャル」や「PA大海物語4スペシャルWithアグネス・ラム」には遊タイムが搭載されていた。

これはホール全体的な状況を見ての感想だが、他の遊タイム搭載機と比較して海物語シリーズ、特に「P大海物語4スペシャル」については「時短抜け100回や120回」の状態や、場合によっては「350回の遊タイム抜けで1300回」の状態の台でも、割とその後に稼働する印象がある。これは「客層」の特性だと考えられるが、あまり遊タイムまでの回転数を気にしない、または遊タイムの存在を理解していない層がメインであるためだろう。一方で、回転数を見回って600回転を超えた台を確保して打つハイエナ層も一部、参戦している。しかし海物語シリーズに関しては「600回を超えた台を回してくれる層」が若干稼働を支えてくれるメリット面よりも、遊タイムを気にせず打つメイン層が勝ちづらくなるデメリット面の方が目立つ印象だ。海物語シリーズの客層から見るに、新しい「Pスーパー海物語 IN 沖縄5」に遊タイムを搭載しなかった点は、個人的には正解だろうと推察できる。

2. 遊タイムのメリットとデメリット
遊タイム機能を搭載する最大のメリットは「遊タイムに近い状態の台が確実に稼働する」点だろう。これは「遊タイム=RUSH確定」の機種はもちろん、エウレカ大海4シンフォギアの遊タイム付き甘デジなど「遊タイムで当たるかどうか分からない」台であっても、遊タイムまでの残り回転数が大当たり確率の分母を下回るような状態の台であれば、ほぼ確実に誰かが打ってくれるだろう。そういった意味では、状況により確実に稼働が上がる場面がある。また同じ意味で、閉店後にラムクリをしないとの情報が浸透しているホールでは、前日の回転数データをファンが見て、朝から遊タイム狙いで並んでくれる店もある。

一方でデメリットは2つある。一つは「遊タイム分に出玉が食われる」という点だ。特に「遊タイム突入=RUSH確定」という機種では、遊タイム突入後に出る分の玉を、通常RUSHの出玉を少なめにするなどして調整せざるを得ない。同一のスタートやボーダー回転数の台が2つあれば当然、遊タイムが搭載されていない機種の方が通常大当たり時の出玉面で優遇できる。

もう一つのデメリットは「ヤメ時が明確」となる点だ。遊タイム搭載機は「右打ち終了時=即ヤメ」が最も効率的な打ち方となる。ラムクリ時のボーダーが例えば千円20回の機種であれば、回転数が100回、200回、300回・・・と遊タイムに近づくごとに、ボーダー回転数は少なくて済むように変化していく。したがって勝ちにこだわる層は、遊タイム機に関してはRUSH終了時に即ヤメしてしまう、というデメリットが発生する。

このメリットとデメリットの兼ね合いや、機種ごと、ホールごとの客層により変化することもあり、遊タイムの是非は一概には言えない難しい状況であるといえるだろう。

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