【コラム】マカオカジノ市場の最新動向~2026年第2四半期GGRと「新カジノ法」下における構造変化~(WEB版)/勝部悠人


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マカオのゲーミング規制当局(博彩監察協調局=DICJ)が発表した今年第2四半期(2026年4~6月)のゲーミング統計によると、マカオの同期間におけるカジノ売上(粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)は前年同期比0.1%減の610.28億パタカ(日本円換算約1兆2300億円)となった。コロナ前である2019年同期との比較では83.2%の回復水準を示している。

売上の内訳を見ると、VIPルームによる売上を反映する指標とされる「VIPバカラ」売上は前年同期比2.6%減の159.01億パタカ(約3200億円)となり、カジノ売上全体に占める割合は0.6ポイント縮小の26.1%にとどまった。一方、マス(平場)部門は堅調な推移を見せている。今年第2四半期のマス売上(総カジノ売上からVIPバカラ売上分を単純計算で引き算したもの)は451.27億パタカ(約9090億円)に達し、2019年同期比で16.5%増、前年同期比でも0.8%増となった。

マカオの今年上半期(1~6月累計)のカジノ売上は、前年同期比6.8%増の1269.01億パタカ(約2兆5560億円)とプラスを維持している。このうちVIPルームの売上は15.2%増の354.76億パタカ(約7150億円)で、全体に占めるシェアは2.1ポイント拡大の28.0%となった。

かつてマカオのカジノ売上の大半(7割前後)をVIPルームが占めたが、近年のマカオ市場では「マスシフト」が顕著であり、VIPルームの構成比は直近7年連続で5割未満となっている(2019年:46.2% → 2020年:43.5% → 2021年:32.8% → 2022年:24.1% → 2023年:24.7% → 2024年:24.1% → 2025年:27.5%)。

ただし、昨年第2四半期から今年第1四半期にかけて一時的にVIPルームシェアが再上昇する動きも見られた。これは、安全面でのリスクを避けるため、東南アジア市場からのハイローラー客の回帰の動きがあったことなどが要因とされる。

なお、今年第2四半期のカジノ売上が前年同期比で微減となった背景には、6~7月に開催されたサッカー北中米W杯などの大型サッカーイベント期間中にカジノ売上が抑制されるという業界特有の傾向(特に今大会W杯は出場国増に伴う試合増で影響拡大)に加え、前年同期の売上ベースが高かったことなどが挙げられる。

今年第2四半期末時点におけるマカオ全体の総カジノテーブル台数は6000台、スロットマシン台数は1万2000台となっており、2023年第1四半期以降は横ばいで推移している。これは、2023年1月1日に施行された改正カジノ法(新カジノ法)に基づき、テーブルおよびマシン台数の上限キャップが設定されたことと直接関係しており、現在の設置数は上限値と完全に一致している。改正直前の2022年12月末(テーブル5605台、マシン1万0775台)からは増加しているものの、コロナ前の2019年12月末(テーブル6739台、マシン1万7009台)と比較すると抑制された水準にある。

また、マカオのカジノ施設数は2022年第1四半期から昨年第2四半期まで変動がなかったものの、昨年第3四半期末に28軒、昨年末には20軒へと急減し、今年第2四半期も横ばいの20軒で推移している。この背景には、コロナ禍による経営難や新カジノ法施行に伴う「衛星カジノ(サテライトカジノ)」の相次ぐ営業終了がある。衛星カジノのうち1施設(ルアークマカオ)のみが直営方式へ切り替えて存続したものの、残る施設は昨年末までにすべて営業を終了した。

DICJが新たに公表した今年7月7日時点のカジノ仲介ライセンス事業者(ジャンケットプロモーター)リストによると、最新の事業者数は29社となった。前回発表(同年3月25日時点)の31社から2社減少し、ピーク時であった2013年の213社と比較すると大幅な落ち込みを見せている。

新カジノ法の規定に基づき、経済財政長官が定めた来年(2027年)のマカオカジノ運営大手6社における仲介ライセンス事業者との契約上限数は、今年と同数の計50枠に設定された。内訳は、MGMグランドパラダイス社が8社、ギャラクシーカジノ社が5社、ヴェネチアンマカオ社が12社、メルコリゾーツマカオ社が8社、ウィンリゾーツマカオ社が5社、SJMリゾーツ社が12社となっている。ジャンケットプロモーターを巡っては、新カジノ法の施行に伴い資格審査の厳格化や業務範囲の制限が進んでいる。

マカオのカジノ市場は、従来のジャンケット依存型構造から、直営マス・プレミアムマスを中心とした新たな経営モデルへの転換を完全に印象付けている。

なお、マカオのインバウンド旅客数は2025年にコロナ前を上回り、過去最高水準に達し、今年上半期も好調を維持しているが、カジノ売上は右肩上がりではあるものの、上半期累計でコロナ前の85%程度の回復にとどまる。

巨大な統合型リゾート(IR)が集積するマカオ・コタイ地区を望む=筆者撮影

巨大な統合型リゾート(IR)が集積するマカオ・コタイ地区を望む=筆者撮影

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/
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