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【特別寄稿】パチンコ産業の歴史⑲ パチンコ新スペックと、禁断のゲーム性「AT」誕生前夜(WEB版)/鈴木政博

投稿日:2023年10月23日 更新日:

創刊60周年記念にあたり、業界の歴史を振り返る意味において「パチンコ産業の歴史シリーズ」を再掲載しています。※この原稿は2011年12月号に掲載していた「パチンコ産業の歴史⑲」を一部加筆・修正したものです。

1. パチンコ5回リミッター解除と同時に生まれた新スペックたち
1999年1月13日付の日工組内規変更で、ついに5回リミッターが解除されたパチンコ機。この時には、大当たり確率を320分の1より甘くする場合に限って賞球5&15を可能(それまでは6&15)とし、他に確変中確率の10倍アップOKなども合わせて実施。その後に発売された新内規対応機である三洋物産製「CR海物語3R」の空前の大ヒットにより、パチンコ機のスペックは「大当たり確率315.5分の1、確変50%、5&15、15R、リミッター無し」がメインスペックとなっていく。

また同年には、新たなスペックも発売されている。一つは前号でも紹介した藤商事製「CR妖怪演芸FN」。こちらは初の確変突入率3分の2の機種として登場したが、内規上出玉1,500個で8回リミッター搭載という点がファンに受け入れられず大ヒットには至らなかった。しかしながら、現在市場の確変高継続率機へと繋がるチャレンジ機であり、今改めて考えてみると注目すべき機種であるといえる。

もう一つは京楽産業製「CRジャングルパークXLTD」だ。この機種は「初の回数切り確変機」として登場したもので、現在「ST機」と呼ばれるジャンルのルーツと言える機械だ。大当たり確率を239.5分の1と大幅に甘くした上で、確率変動となっても「20回転で確変が終了する」という斬新なスペックだったが、当時の内規では確変率は50%が上限で「100%確変」ができなかったため、確変突入率が2分の1なのに回数切りという点がファンに支持されず、こちらもヒットには至らなかった。その後SANKYOからも「CRフィーバーゴーストGP」などのST機が発売されるものの、やはり確変突入率が2分の1でST機という点は変わらず、支持されたとは言い難い結果で終わっている。ちなみにどちらの機種も「次回まで確変」バージョンの機種については市場でヒットを記録しているが、これも正確には次回までではなく実際には「10,000回転まで確変」となっていた。これはスペック違いの機種として複数機種を型式試験に持ち込む際に「次回まで」と「回数切り」の2種類よりも、「20回転まで」と「10,000回転まで」とした方が効率が良いという理由だったが、当時はこのST機への模索がなされていた最中であったため、このような「確変10,000回転まで」という機種が各社から多数登場することとなる。

後に市場で大ヒットする「ST仕様」がこの時期に生まれ、どちらも内規上の理由で不遇となっているという事実が興味深い。

京楽産業製「CRジャングルパークXLTD」

京楽産業製
「CRジャングルパークXLTD」

SANKYO製「CRフィーバーゴーストGP」

SANKYO製
「CRフィーバーゴーストGP」

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