【特別寄稿】ヘソ賞球数の考察(WEB版)/鈴木政博

3. ヘソ賞球の違いについて
現状、聞かれる声をまとめてみたい。ホールからの意見としては「1個賞球が良い」という理由として「活用するための整備がしやすい」「3個賞球より回しやすい」といった声や、「粗利を確保しやすい」という声が多い。また逆に「1個賞球は良くない」という理由では「整備するときが面倒」という声が意外と多かった。これは、「ヘソ3個賞球」であれば「一分間スタートのみ見て整備できる」のに対し、「ヘソ1個賞球」だと「一分間スタートに加えベースや250玉スタートなどを見比べて整備する必要がある」というものだ。

またファンからは「3個賞球が良い」という意見の方が多い。裏を返せば「1個賞球は良くない」という意見が多く、理由は「全然回らない」という意見が圧倒的だ。ファンとしては「全然まわらないぞ」→「ヘソが1個だからか」と感じる場面が多いようだ。

私が個人的に感じることとしても、店によっては「スタートは分5回くらいあるが、その他にほとんど入らない」ケースを見かけることは多い。この場合、ヘソ1個賞球だと250玉あたりにすれば良くて14~15回程度しか回らない。「その他入賞口」に入らない状態で分スタート値で整備すると、粗利は確保できるが遊技者からは「回らない」という印象になる。こうした整備の状況が「1個賞球は良くない」という意見に繋がっていると考えられる。

4. ヘソ賞球とベース
それでは、ヘソ賞球とベース、その他入賞口の関係はどのようなものか。まずは下の表をご覧いただきたい。

最低ベース

これは「ヘソ以外、その他入賞口に入らなかった場合」における一分間スタートと250玉あたりスタートを比較したものだ。遊技機にもよるが、仮にスタート5.4回の整備で営業する場合、ヘソ賞球3個であれば250玉16回以上を確保できるが、ヘソ賞球1個だと14回ちょっとになる。やはりヘソ賞球1個の場合、その他入賞口への入賞がほとんどない整備であれば、一分間スタートを上げるなど「回らない」という印象をファンに抱かせない注意は必要だろう。

次に、仮に「250玉あたり16回」のスタートにしたい場合、一分間スタートとベースはどのような関係になるか。次の表をご覧いただきたい。

250玉あたり16回の場合の一分間S

250玉で16回まわしたい場合、ヘソ賞球1個では一分間スタートを6.0まで上げることができる。逆に2個賞球なら5.6回、3個賞球になると5.3回までしか回せないことになる。これは当然のことながら、ヘソ3個賞球でスタート5.4にした場合、その他入賞口に全く入らないとしても250玉あたりスタートは16.1回と16.0を超えてしまうためだ。

前述したように「その他入賞口にほとんど入らない」整備にもかかわらず「一分間スタート値のみで整備している」のか、もしくは粗利確保重視なのかはわからないが、個人的にも「1個賞球は回らない」という印象を抱かせる状況のホールは時折見かける。しかしヘソ賞球1個なら「250玉あたり16回でも一分間スタートは6.0まで上げられる」のも確かだ。

ヘソ賞球がどのような評価に落ち着くかは今後を注視したいが、ファンのネガティブな感情をなるべく減らして新規ファンが増える方向へむかうことを願う。

(以上)

■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。

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