先月4月15日、日工組と日電協が共同でニュースリリースを発出し、現在1,500Gの回胴式遊技機における有利区間が3,000Gとなることが分かった。これによりパチスロ、特に6号機AT機は今後どのような変化があるのか。今回は、この点について考察してみたい。
1. 日電協と日工組がパチスロ機の「1500ゲームリミッタ規制」廃止へ
日電協と日工組は4月15日、回胴式遊技機の有利区間の終了条件のひとつである「1500ゲームリミッタ規制」の廃止を決定したとニュースリリースを発出した。主な内容をまとめると以下の通り。
1. 現行基準で1,500Gまでとなっている有利区間について、まずは第1段階として5月20日以降の型式試験持ち込み分より3,000Gへ延長する
2. 時期は未定だが、第2段階として業界で推進している「メダルレス遊技機」から有利区間ゲーム数を完全撤廃する
目的はゲーム性のさらなる向上としている。ちなみに文書では「2,400枚規制」については触れられていない。
まずは5月20日以降の型式試験持ち込み分から3,000Gへ延長されるとなると、早ければ秋頃には市場に登場する可能性がある。それでは、この措置で今後、パチスロにどのような変化があるのだろうか。
2. 有利区間が3,000Gとなる意味は?
では、現行の1,500Gから3,000Gになると、どのような変化が考えられるのか。
まず、差枚数の上限リミッター「2,400枚」は変化していないので、直接的な射幸性についてはほぼ変化は無さそうだ。出玉面について考えると、若干優位になるのは主に「低純増AT機」といえるだろう。
低純増AT機の場合、今まで「2,400枚出る前に、先に有利区間1,500Gに達した」というAT終了の仕方をする事例が時折見られた。これは、例えば純増2.0枚の機械の場合はおおむね残り1,200Gの有利区間が、純増3.0枚でもおおむね残り800Gの有利区間がないと、2,400枚まで出せないことで発生している。また、それら想定される残り有利区間がある場合でも、小役のヒキなどで実際には2,400枚手前で終わってしまうこともある。
この点が、有利区間3,000Gとなると大半の部分で解消されることになる。少なくとも「エンディング」のような完走確定の演出が出た場面では、「先に有利区間G数に達して2,400枚出る前に終わった」という事例は少なくなりそうだ。
次に天井についてだ。現在の天井は有利区間を食いながら進行するので、天井AT突入で2,400枚出る可能性を残すなら、前述の通り純増2.0枚の機械だとおおむね残り1,200Gの有利区間が必要となる。よって天井G数を300Gとするしかない。しかし、こんな浅いG数天井で2,400枚出すことは現実的ではなく、事実上「2,400枚出る期待感のある天井」は設けることができなかった。純増3.0枚でも、残り800Gの有利区間が必要となれば天井は700Gにしないと2,400枚出る可能性がなくなる。しかし天井700Gでは、2,400枚出る割合を増やすのは難しい。
しかし有利区間が3,000Gとなると、かなり遠めの天井を設定することが可能となる。例えば純増2.0枚の場合、天井を1,500Gとしても残り有利区間は1,500Gあるため、十分に2,400枚出る可能性を担保できる。天井が深くなる点の是非はさて置くとしても、今後は低純増機でも「一撃2,400枚出る」という期待感のある機械は開発しやすくなりそうだ。