2.型式試験方法の変更
複数の情報筋から聞いた話では、昨年10月中旬より、保通協での回胴式遊技機の試験方法に変更があったようだ。
昨年10月上旬の「変更前」までは、パチスロは主に2つの打ち方で試験されていた。仮に名付けるなら「実射打ち」と「ランダム打ち」といった打ち方だ。
まず「実射打ち」の方は、ホールでファンが打つ打ち方に近いもので、主に出玉率上限を超えないかを見る。具体的には「小役を取りこぼさないよう目押し」をしたり、「ナビに従いATを消化」といった一般的な打ち方だ。こちらは専用の自動打ち機を合わせて持ち込むことも多い。
もう一つ「ランダム打ち」の方は、主に出玉率の下限を下回らないかを見るもので、例えば「順押し」と決めたらずっと順押しで、また「逆押し」と決めたならずっと逆押しで、試験中の全ゲームを消化し続ける。AT中も、ナビに従わずその打ち方をする。
この「ランダム打ち」では、AT機については「通常時」も「AT中」も同一の出玉率となってしまう。つまり「ずっと通常時」として消化するのと同じとなるので、出玉率の下限60%を超えるには「通常時の出玉率60%」を確保する必要があった。この通常時出玉率60%が、50枚50Gという高ベース機があふれる状況に繋がっていた。
さて昨年10月まで、各社が適合に難航していたのはこの「ランダム打ち」にあったようだ。前述の通り「1Gペナルティ」を搭載し、通常時は1枚役をナビしてAT抽選をしない、という遊技機を「ランダム打ち」した場合、例えば「順押し」と決めたならずっと順押しをする。通常時に出るナビも無視して打つため通常時から頻繁に15枚など枚数の多い小役が払い出され、その代わりほとんどATに突入しない性能になる。この場合、ずっと高ベース状態になるので、出玉率は100%を少し下回るあたりで安定すると考えられる。
しかし昨年の不適合事例において「試射試験の結果、17,500回出玉率が規則で定める値に満たなかった」という不適合事例が頻繁に見られるようになった。「ランダム打ち」で17,500Gをずっと同じ押し順で打ち続けて、出玉率が60%を切ることは考えられない。しかし「実射打ち」で17,500Gを回して60%を切るのも、試験時に余程の引きヨワであったとしてもなかなか難しい。この状況により、保通協での試験方法について「いつ、どんなナビには従って、どんなナビなら従わないのか」といった疑問が噴出していた。また時期も悪く、コロナ禍で組合側と行政との話し合いが思ったように進まない、といった事態も重なった。
このような状況を経て、昨年10月初旬に話し合いがまとまり、10月中旬から保通協での型式試験方法が変更された。