【特別寄稿】パチスロ6.0号機の現状と今後の展望(WEB版 後篇)/鈴木政博

3.型式試験対策と考えられる具体例
ここからは推測を含むが、具体例としてベルコ製「スーパービンゴギャラクシー」を考えてみたい。純増4.6枚のAT機で、4.6枚で出続ける状態がある。また6号機ではよくある「高設定ほど、ATに突入しやすいが期待枚数は低い」というつくりではなく、期待枚数も設定が高くなるにつれ下がらないのが特徴だ。

当然、ごく一般的な打ち方をすれば適合する可能性はかなり低い。ヒントは「RB(レギュラーボーナス)」だ。この台には増えも減りもしないRBが搭載されている。揃えてしまうと12G程度、増えも減りもしない区間が続く。そのため市場では、上部ランプが点滅したら左リールに「BAR」を狙い、RBが揃わないように打たれているのが一般的だ。

しかし「最も出玉率の高くなる打ち方」が「RBを入賞させる打ち方」だとしたらどうか。型式試験中はRBを揃えて実射試験をするため、当然AT中の純増枚数は減少する。結果として400G試験は上限を超えなくなる。

また、この機種にはいわゆる「ペナルティ」は存在せず、RBを揃えたからといって目に見える不利な点はほとんどない。したがって実際に17,500Gを打つ仮定で考えると「RBを揃えた方が最も出玉率が高くなる」可能性は非常に高い。ただし、市場でもボーナスを揃える打ち方をされてしまう「攻略要素」になりえる危険性があるため、通常の打ち方が97.5%なら、ボーナスを揃える打ち方でも97.52%、などとほとんど差の出ない仕様にする必要があるだろう。

なお、実際のホール営業において「RBを揃えた方が得か」は疑問だ。そもそも一日営業で17,500Gを回すのは不可能であるばかりか、状況によっても変化する。例えば天井までのゲーム数。例えばAT有利区間の残りゲーム数。その状況により、揃えない方が得な場面もあるだろう。また、揃えてもほんの誤差程度でしか出玉率がアップしないなら、どちらかといえばAT純増が落ちる分、遊技感が損なわれるデメリットの方が大きいかもしれない。

4.今後の6号機の未来
現在設置中の6号機を推察してみると、純増3枚超で減る区間なく出続ける可能性のある機械はいくつかある。しかし「ロードオブヴァーミリオン」「戦コレ!」「おそ松さん」あたりは、400Gの短時間出玉上限を超える可能性自体はあるものの、市場でのその出現頻度からみると「たまたま型式試験中に出なかった」から適合した可能性が十分に考えられる。また「アナザーハナビ弥生ちゃん」は設定1のみ短時間上限を超えそうな出方を見かけるが、こちらに関しては「設定1はボーナスを揃えた方が出玉率が高い(揃える打ち方でも100%は超えない)」または「たまたま設定1は上限を見る試験をされなかった」可能性も十分に考えられるだろう。

6号機では最も注目されている「リゼロ」だが、こちらについては様々なウワサが出ているもののその詳細に関しては不明だ。ただし「20~30回も持ち込めば、絶対に適合しないようなラインの機械ではない」ことも確かだ。またメーカー各社も実機を入手して解析しており、何らかの適合対策が施されている兆しは見つけられているようだが、その情報についてここで詳細を記すのは控えたい。

なお現在、ビンゴのような方式をはじめとした「最も出玉率の高くなる打ち方はボーナスを揃える」という申請が難しくなっているようだ。ビンゴやリゼロは2018年中に適合した機械であり、2019年からはその点が厳しくなっていると聞く。様々な試行錯誤がなされているが、最近メーカー各社から聞こえる声は「保通を向いて作るのではなく、ファンを向いて機械づくりをしたい」との声だ。つまり適合対策も必要だが、そこに注力するより「ファンに魅力がある機械」を作りたいという熱意だろう。当然それには、射幸性という点において適合率が低下する懸念はある。しかし今後「5号機がなくなっても6号機を打ちたい!」と多くのファンが思うようなパチスロが、数多く適合することを願ってやまない。規制緩和の話も出てきている。これからの6号機市場に期待したい。

(以上)

■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。
Mail:msuzuki_u3ken@ybb.ne.jp

※本稿は過去に本誌に掲載した記事を、一部、WEBサイト用に編集した上で掲載しております。

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