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【コラム】ぱちんこ演出バグとデバッグ(前編)

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ぱちんこ開発者の独り言68
このところ「時短回数を伸ばす」打法というガセ情報や、レインボー保留が違う色の保留に変化し外れるといったぱちんこ遊技動画がアップされることが増えてきた。

これらの動画で共通しているのは、遊技機の演出が実際に映像で起こりうる「バグ」であるということだ(※バグとは、プログラミング上の誤りのこと)。

実際に映像で起こりうるというのがポイントで、内部的に時短が規定回数決まっており継続したように演出しているだけであっても、演出上でバグが組み合わさると、「本当に延長した=攻略法では?」と錯覚させる可能性があるからタチが悪い。また、レインボー保留なり下がりからのハズレは言わずもがなである。

ぱちんこのハズレor大当りは、メイン基板にて抽選が行われており、液晶に表示される演出は全てその副産物であるのは、以前のコラム(ぱちんこを司るのはメイン基板メイン、サブ、液晶、それぞれの役割について参照)でも記載した通りである。

ぱちんこ機のスペックは全てメイン基板(ROM)にて構成されており、そのメイン基板からの情報にて、サブ基板や液晶基板にてどのような演出を出現させるかを決定しているため、その出現させるプログラミング上にバグがあった場合は、メイン情報との不一致が出ることがある(ハズレにも関わらず大当り濃厚演出が出るそれである)。

ぱちんこ機の抽選はメインから行われる。すなわち、まずはその変動が当りorハズレが選択される。仮にハズレが選択された場合、大当り濃厚演出を出現させるとおかしなことになるので、絶対に出現しないようにプログラミングを行う。10個ある演出中、2個が大当り濃厚の場合でそのようにプログラムしなければならないにも関わらず、1個のみ大当り濃厚と間違って実装してしまった場合、ハズレ変動であったとしても大当り濃厚演出が、演出として選択される可能性があるわけである。

つまりぱちんこ機のバグの殆どは、大当り抽選と映像演出抽選をそれぞれ別のプログラムで抽選をしているために起こりうる結果なのである。

バグにて起こりうる可能性が僅かでもあるため、機械演出説明書(小冊子)等でも大当り確定!と断定するようなことはせずに、大当り濃厚と記載するのはこのためである。

余談ではあるが、このメインからの情報は必ず遊技者から見える位置に表示配置しなければならないと決められている、これを「本図柄」という。この本図柄の表示方法は、セグメントまたはランプで良いとされている。

(参照:北斗7のランプ添付)

この本図柄が全ての遊技台に存在しているのだが、メイン基板(ROM)に何かしらの異常がある場合は、正常な動作を行うことは無いことが多い。裏を返せば、本図柄が正常な動作をしているのであれば、メインにトラブルが発生している可能性は低くなる

本来このようなバグは、遊技機メーカーが未然にデバッグにて防がなければならない事案であるのだが、演出が複雑になった上、演出ボリュームも劇的に増えた昨今、デバッグで見つけきれない現状でもある。また、昨今はスマホや動画サイトの普及により、誰でも簡単に動画をアップしSNSで発信することが可能なため、大きな問題にもなりやすい。

メーカーと遊技機のデバッグについては、次回コラムにて言及したいと思う。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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