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【コラム】スペック設計の妙/ぱちんこ開発者の独り言

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ぱちんこ開発者の独り言63
総量規制や総量出玉という言葉はここ1年ほどで一般的になったが、その計算方法や数値に関して言及しているところは、当コラム以外は見たことが無い。それもそのはず、そもそも総量出玉規制というのは、スペック設計をするメーカー開発者以外には、言ってしまえば気に掛ける必要のない数字だからである。

計算方法はそれほど難しくないが、細かい取り決めや計算時のルールなども存在しているため、開発実務者しか知りえない内容も少なくないのである。

それにも関わらず、多くの業界知識人が「継続率撤廃後も、総量規制があるため出玉は変わらない」などと断定するのは非常に早計であるし、不可解でもある。確かに、出玉率規制によって、旧基準機と新基準機には、明確な出玉率の差異があるため、出玉率という点においては差があるのは間違いない。

出玉率は、打ち込みの玉数に対しての出玉率であり、大当たりを契機とした一撃の出玉に関しては、似て非なるものである。一方、総量出玉とは、大当たりを契機とした一撃の出玉に対する規制であり、双方をもって射幸性を抑えているわけである。

そのため、「総量規制があるため、一撃の出玉は変わらない」というのであれば、理解はできるのだが、それも断定するには早計である。

なぜなら、継続率規制が撤廃された後は、総量出玉ギリギリのスペック構築が以前よりも容易になるからである。今現在、2,400個を搭載した旧基準機が市場に設置されている状態であるが、総量出玉ギリギリの数値設計をされている遊技機は意外と少ないのは、実際に総量出玉を計算してみれば、すぐにわかるはずなのである。

そもそも、継続率65%規制下において、遊技性やゲーム性、スペックの甘辛などを考慮した上で、総量出玉をギリギリまで攻めた数値設計をするのは非常に難解であり、ユーザー目線において「玉が出る」と思えるような機械であったとしても、総量出玉に余裕がある状態のスペックであることも珍しくない。

事実、総量出玉ギリギリのスペックを搭載した機械よりも、総量出玉に余裕を持たせた、アタッカーの拾球率やSA、変動秒数や音、光による爽快感などを追及した機械の方が、出玉性能が高いと感じさせてしまうことは非常によくある話でもある。

以上のことから、継続率65%規制下における遊技性やゲーム性は、総量出玉ギリギリを攻めるスペックを構築しにくかったわけであるのだが、その状況下において、違った形で出玉感を感じることができる創意工夫をしていた期間でもある。

一方、継続率規制撤廃後は、その遊技性やゲーム性においても自由度が広がり、当然のことながら総量出玉ギリギリを狙ったゲーム構築も非常に容易であり、尚且つスペック性能だけに頼らない出玉感を追求したアプローチも可能なのである。

何より、出玉感はイメージや雰囲気に流される部分もあるため、私の個人的な予測としては、ぱちんこ機の直近の未来は決して暗くない、そう考えるわけである。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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