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【コラム】抜きに出たスペックについて/ぱちんこ開発者の独り言

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ぱちんこ開発者の独り言62
当コラムでも何度か発信させていただいている総量出玉、最近は、よそでも良く目にするようになってきた。その論調とは、「来年の2月に継続率規制が撤廃されるが、総量規制は変更が無いため、出玉は変わりがない。あくまでもゲーム性が変わるだけだ」との意見が大勢をしめる(総量出玉については、過去44のコラム参照)。

また、当コラムにて、出玉獲得に至るプロセスにより、ユーザーの「体感」や「印象」が変化することにより、出玉感が規制前と規制後のスペックには明確な違いが出ることも過去のコラムで言及した(コラム5455参照)。

事実、継続率65%全盛期においては、「CRF戦姫絶唱シンフォギア」や「「CR戦国✝恋姫」などの1種2種タイプにて、合算継続率を引き上げたスペックが異彩を放っていた。継続率による制限がある中で、違った手法により結果として制限を超える表現が可能になり、ユーザーがそれを認識し、継続率が似たような閉塞感の中において、飛びぬけて体感継続率が違うスペックが登場すると、横並びのスペックにおいて間違いなく目立ち、その結果、高稼働に結び付いた一つの要因であろうことが推測される。これはまさにユーザー体感や印象に大きな影響を与えたといえる。

当コラムでは、新台についてはあまり言及しないが、非常に特徴的でタイムリーなスペックだったため、取り上げてみる。

豊丸産業「Pロードオブファラオ」
確率:1/319.7
特図2実質大当り確率:1/1.95
※5回セットタイプ

特図1大当り割合
10R時短 出玉1,200個 64%
10R通常 出玉1,200個 36%

特図2大当り割合
6R時短or通常 出玉630個 100%

当機種は、1/319.7の初当たり時の64%(発生確率:約1/499.5)において、3,720個(1,200個+630個×4回)の出玉獲得が確定し、残保留1個にて、1/1.95(約51.3%)を引き戻すことができれば、3,150個(630個×5回)の出玉獲得が保証されるスペックとなっている。

すなわち、ユーザー体感でいえば、下記の通りになる。

初当たり確率:1/499.5(ビッグボーナス) 出玉3,720個
初当たり確率:1/888.1(レギュラーボーナス) 出玉1,200個

ビッグボーナス後、約51.3%の確率で、1Gビッグボーナス(出玉3.150個)

当機械におけるスペック最大の特徴は、1回の大当り(と思わせるだけだが)で出玉が3,000個以上獲得できること、それが約50%以上の確率でループすることの2点である。特に、50%という数字は妙であり、「半か丁か」「表か裏か」「〇か×か」など二者択一として昔からなじみ深く、ハズレを引き当てた場合は「自分の引きが悪かった」となる最低限度の数値ともいえる。その数値を51.3%としているのは、2分の1よりも少し期待できると、スペック設計者が暗に訴えかけているようにも思える。

以上のように、横並びのスペックではなく特化されたスペックであるのは間違いないのだが、あくまでもスペックは副菜であり、主菜はスペックを含めたゲーム演出であることに間違いない。そのあたりは、しっかりと試打を行い選定し、導入の是非を決めたいところである。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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