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【コラム】総量出玉から考える遊技機スペックにおける出玉性能

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ぱちんこ開発者の独り言㊹
規則改正にて、著しく射幸心をそそる恐れのある遊技機の出玉率基準が変更となったのは皆様ご承知であると思われる。簡単におさらいすると、下記の通りである。

<ぱちんこ旧基準機>
1時間 出玉率下限なし 出玉率上限300%
10時間 出玉率下限50% 出玉率上限200%

<ぱちんこ新基準>
1時間 出玉率下限33% 出玉率上限220%
4時間 出玉率下限40% 出玉率上限150%
10時間 出玉率下限50% 出玉率上限133%

もう見慣れた数値ではあるが、この出玉率とは別に、日工組独自の内規として「総獲得遊技球数の期待値上限」(通称、総量出玉の上限)を設けており、出玉率の上限下限は当然のことながら、総量出玉の上限も遵守しなければならない。

この総量出玉の上限は、スペック毎に取り決めが決まっており、全てのスペックが同一基準ではない。つまり、この総量出玉の上限を知るだけで、スペック毎における出玉性能の限界値を知ることができるわけである。

<総獲得出玉期待値の上限>
・(小当りRUSHタイプを除く)1種タイプ、2種タイプ
⇒初当たり出玉を含まず6,400個未満

・1種+2種タイプ
⇒初当たり出玉を含まず6,400個未満、但し初当たり出玉を含めて7,200個未満に収める必要があり

・小当りRUSHタイプ
⇒初当たり出玉を含まず6,400個未満、また、小当りRUSH1回につき出玉期待度は1,500個(旧基準は2,400個)未満にする必要あり

・継続率65%以上のリミッタータイプ
⇒初当たり出玉を含めて6,000個以下

・一般電役タイプ
⇒初当たり出玉含めて4,500個未満

以上のように取り決められており、とりわけ、リミッタータイプに関しては非常に厳しい数値となっている。理由としては、リミッタータイプであれば、例外的に確変継続率を65%以上でスペック構築することが可能なため、総獲得出玉の期待値を抑えめにすることで射幸心をそそらないようにしているわけである。

また、1種+2種タイプは、初当たり出玉を除けば、1種タイプや小当りRUSHタイプと同等の出玉性能を保持することができるが、初当たり出玉を含めると数値的に出玉性能としては劣る。特に旧基準スペックでも同様のため、1種+2種タイプは初回出玉を少なくするスペックや、最後は出玉をとれずに終了する(ST機のように駆け抜ける)スペックが多くなりがちである。

他方で、小当りRUSHタイプは、小当りRUSH中の小当り出玉も総量出玉計算に含めなければならず、小当りと大当りでは、払い出し玉数は同じであっても、当然のことながら大当りの方が実際に手元に残る玉数は多い。

すなわち、総量出玉におけるスペック性能の上限値は、下記のようになる。

リミッタータイプ < 1種+2種タイプ < 小当りRUSHタイプ < 1種(2種)タイプ

計算上の出玉性能でいえば、1種タイプが最も出玉性能を高めることが可能なため、各メーカーは出玉性能を少しでも高めようとした場合は、1種タイプでスペック構築することが多いことを知っておいて損はない。

これはあくまで計算における出玉性能である。実際は、スペック性能に加え演出やアタッカー性能、SAなどを組み合わせて作られたスペックにて体感するものであるため、総合的に考える必要はあるが、総量出玉を知っておくことは、事前にそのポテンシャルを計ることが可能なため、抑えておきたい数値である。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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