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【コラム】平均的な出玉性能と実出玉の体感

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ぱちんこ開発者の独り言㊿
設定という要素が加わった反面、出玉性能自体は旧基準機に比べて劣ると認識されている新基準機であるが、半分正解で半分間違いというのが本当のところであろう。当コラムでも言及してきた通り、短時間出玉で比較すると、旧基準機が300%に対し、新基準機は220%であるため、一見すると出玉性能は間違いなく落ちている。

しかしながら、新基準機は絶対に1時間(短時間)で220%以上出ないわけではない。例えば、打ち始めて1回転目で大当りし、1時間確変が継続し続けたとする。確変中の大きなハマりもなくコンスタントに10Rを積み重ねた場合、おそらく実測値として220%は超えてくるであろう。

当然、旧基準機であっても同様で、打ち始めて1回転で大当りし、1時間以上コンスタントに大当りを継続し続け、16Rを仮に引き続けた場合、1時間(短時間)の出玉率は300%を超える。1時間出玉率300%を実出玉にすると、セーフ玉(遊技機から払い出された玉数)で18,000個である。その場合は、打ち込み玉数の6,000個を引いたとすると、差玉で12,000個程度となる。勿論、旧基準機の話である。

1時間大当りを引き続けたとして、持ち玉12,000個前後が最大獲得想定出玉であるとは、ぱちんこを楽しむユーザーであれば、誰も思わないのではなかろうか。当然のことながら、それは新基準機でも同様のことが発生する。

極端な話をするのであれば、1/319の確率であったとしても、毎変動1/319の大当りを引くことは「不可能」ではない。当然、通常確率において大当りを引き続けるのは、甘スペックであっても事実上は不可能であるが、絶対に発生しない、と断言することはできないのである。発生しないと断言できない以上、発生する可能性は天文学的な数値ではあるが、発生する可能性は僅かながら存在はする。

すなわち、出玉率の基準は「平均的な遊技」が基準となり、ユーザーの「引き」を考慮しない場合が多い。

同じ確率帯や継続率、ラウンド振り分け等で、スペック性能上は同じTYであったとしても、塊としての差玉が出やすい機種(スペック)や出にくい機種(スペック)は存在する。平均出玉(TY)としては同じだが、差玉の分布図は違うというのは間々あり、それらはユーザーの「引き」だけではない。

とはいえ、短時間出玉率の抑制で、平均的な出玉スピードは低くなるが、最も有利な状態突入時の総量出玉に変更が無い以上、ユーザーが認識する「持ち玉」に関しては、スペック設計で旧基準機とそん色ないレベルのものを実現することは可能である。

また、そこに設定という新たな要素が追加されるのは、前回のコラムでも記載したが、設定の雰囲気を見る限りプラスとして考えて良いだろう。

思いのほか長引いてしまったので、次回コラムでは前回告知した通り、設定付きミドルスペックの性能別特徴について言及していく。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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