【コラム】ゲーム開発会社とぱちんこ開発会社について

ぱちんこ開発者の独り言70
つい先日、遊技日本webでも業界ニュースとして取り上げられたが、ユニバーサルエンターテインメントと大手ゲームメーカーのカプコンが遊技機事業において業務提携に関する基本合意書を締結したと報じられた。

また、今年の1月23日にバンダイナムコホールディングスが同社傘下のバンダイナムコエンターテインメントの遊技関連事業を分社化し、4月1日付けて遊技機関連事業専門会社のバンダイナムコセブンズを設立すると発表があった。

これらのニュースを聞いて、「ついにゲーム会社も遊技機事業に参入なのか」というように感じた方も少なくないと思うが、それは認識が違う。

ゲームメーカー及びゲーム下請け開発会社は、ぱちんこパチスロに液晶が搭載され、それが主流になった頃から既に遊技機開発に参入していたため、早いところでは十数年以上昔から、ゲーム会社がぱちんこパチスロメーカーの下請けとして遊技機開発を行っていた。

アーケードゲームやコンシューマーゲームを始めとしたゲーム産業が右肩下がりの時代に、ぱちんこやパチスロを始めとする遊技機は、有名版権を使用しての開発も加速し始めた上、液晶の大型化やアニメやCGを使用した美麗液晶の時代に傾倒するようになり、遊技機における液晶開発費は徐々に膨らむことになった。

その結果、既にコンシューマーゲームで美麗映像制作において一日の長であるゲーム業界が、遊技機開発において重宝がられたことは容易に想像が可能であろう。

ゲーム開発の開発コストがひっ迫していく一方、遊技機開発の開発コストは豊潤になっていけば、当然のことながら遊技機開発は旨みのある仕事であり、当初はゲーム開発の傍ら手伝うレベルであった遊技機開発の割合が徐々に多くなり、遊技機開発部門を設立するゲーム開発会社が増えていった。それほどまでに、ゲーム開発会社にとって遊技機開発は無視できない市場であったともいえる。

しかし、昨今の遊技機市場の冷え込みに加え、スマホを利用したソーシャルゲーム市場の拡大や、ゲーム開発における海外資本の参入など、ここ数年、ゲーム市場の開発規模が膨らみ、十数年前にゲーム開発から徐々に遊技機開発にシフトする会社が増えたように、今現在、遊技機開発に軸足を置いていた会社が徐々にゲーム開発にシフトを移す会社が増えつつある。

また、その話は会社単位にとどまらず、人材の面に関しても、遊技機開発における開発プロジェクトの中心メンバーであるプロデューサーやディレクターは、ソーシャルゲーム会社の引き合いも少なくなく、遊技機開発におけるプロジェクトを統率できる経験者がソーシャルゲーム業界へ人材が流出し、結果、人材不足を起こしているところが少なくない。

次回コラムでは、ゲーム開発会社と遊技機メーカーが業務提携をすることによるメリットについて言及していきたいと思う。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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