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【コラム】“まどマギ”に代表される1種2種タイプの考察(前編)

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コラム:ぱちんこ開発者の独り言②

●“まどマギ”に代表される1種2種タイプの考察(前編)

CRF戦姫絶唱シンフォギア」や「CRぱちんこ魔法少女まどか☆マギカ」などに代表される“図柄揃い”と“Vゾーン入賞”という2つの当たり方をもった通称「1種2種タイプ」(2005年から1種や2種という区分はなくなったが、便宜上使用する)がここのところ非凡な結果を出している。

元々、12種タイプは上記の通り、図柄揃いして大当りと、小当りさせたあとVゾーンに玉を入賞させて大当りという、それぞれ全く違う経路から大当りさせることができる。開発者にとっては従来の機械よりも幅のあるゲーム性を持たすことができるため、魅力的なスペックである。

しかしながら、単純に図柄揃いで大当りが発生する1種タイプとは違い、小当りは規則上、アタッカーの開放秒数を最大でも1.8秒までしか開放させることができない。当然のことながら、V入賞させないと大当りが発生しないため、従来機種よりも1段階多く作業が発生する。このことが年配層を中心としたライトユーザーに対し、参入障壁が高くなり、機械そのものが敬遠される可能性があったため、魅力あるスペックをとるべきか、機械全体のわかりやすさをとるべきかという議論がどのメーカーでもあったと思われる。 

また、Vゾーンというアナログなものを使って大当りをさせるものは、個体差による不具合や、様々なゴトの可能性が考えられるため、役物完成後に、1種タイプよりも入念に検証作業が必要となる。それに、万が一、市場にて何らかのトラブルが発生し、最悪の場合、回収騒ぎになると、メーカー側としても多額の補償をしなければならず、従来の実績ある1種タイプをリリースするよりもリスクが高い。

ただし、不具合やゴト対策などは入念に検証を行えば、リスクを限りなく最小限にすることは可能なため(経営者含めた役員に理解してもらう必要はあるが)、12種タイプの最も大きな問題は【複雑な遊技性】にあった。

12種タイプが市場にリリースされた当初は、特定の回転数が終了するまでにVに玉を入れろ!といった、アナログ役物でV入賞させる羽根モノ要素がかなり強かった。これらの機種(CRチョロQターボ、CRアラジンデスティニーなど)は、今までに無いタイプのスペックであり、オンリーワンのゲーム性を搭載していたため、コアなファンには非常に受けが良かった。

特に、「CRアラジンデスティニー」は出玉性能も高く、メーカーも期待が高かったのであろうと思われるため、(確か)全国7か所で先行導入をし、メーカー側から派遣されたガイドが先行導入店の島に張り付き、遊技方法を丁寧に教えるということまでしていたが、残念ながら、大ヒットに繋がることはなかった。

 一方、そのあとにリリースされた初代「CR牙狼」はVゾーンをアナログ的な使い方をせず、【大当りを発生させるためだけの装置】と割り切り、従来の1種タイプに極力近づけることで複雑な遊技性を簡略化し、12種タイプにしかできないスペックを搭載させることで大ヒットに繋がった。 

このように、一口に12種タイプと言えども、その時々の情勢に合わせて仕様が細かく変化していったのである。次回(後編)では、今回のテーマの本題として、1種2種タイプは今後トレンドとなるのか?について考察したい。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイトを設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。

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