パチンコ釘問題など、行政講話/警察庁保安課・小柳課長

活動開始以来、立入検査店舗数が既に2万2千店舗を超え、検査台数も実に15万台に上る実績を有することに加え、この立入検査を端緒に検挙に至った事例も多数あり、様々な形で成果を挙げております。このような有意義な取組である推進機構の調査に対する業界の理解は、徐々に深まってきていると感じておりますが、一方で、未だに機構の活動に対する理解が低いホールもあると聞いております。

推進機構の活動が効果的に行われるためには、機構に対する各店舗毎の理解が不可欠でありますので、立入検査を拒否したり、妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す業界全体の取組に逆行する行為であるとの共通認識をさらに広め、業界全体で不正改造の根絶を目指す気運を高めていただきたいと思います。

警察といたしましても、引き続き、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。

・遊技くぎの問題
次に、遊技くぎの問題についてお話しします。

遊技くぎに関する問題に関し、昨年中、推進機構における遊技機性能調査や、日本遊技機工業組合が業界を挙げた回収を進めていくとした型式遊技機の撤去要請等の取組を推進してきたのはご承知のとおりでありますが、一連の取組については、ちょうど1年前、皆様に対する行政講話において、本問題の指摘とともに、業界の取組の要請をさせていただいたことを思い返していただきたいと思いますので、昨年申し上げた関連部分を、再度引用して申し上げておきます。

「くぎの問題は、単純に悪質な営業者だけの問題で済ませることが出来ないほど、業界内の広範囲で甘く考えられているのではないかと危惧しております。全日遊連におかれては、このくぎの問題が風営適正化法に基づく射幸性の適正管理を堂々と侵害している厳しい現状を真摯に受け止めた上で、くぎの問題を業界全体で改善すべき課題と捉え、その認識を業界の常識とするよう尽力し、不正改造事案の絶無を目指していただきたいと思います。」

このように申し上げ、全日遊連に対し、お願いをさせていただきました。そのことを前提として、くぎ問題に関する昨年の取組を振り返ってみますと、推進機構における調査にしても、日工組の回収への取組にしても、行政からの要請に基づき端を発したものであり、全日遊連としては、受け身に回ったと言わざるを得ない状況が、残念でなりません。

全日遊連は、ぱちんこ営業の健全化を図ることを目的として組織する団体として、風営適正化法第44条に基づき、国家公安委員会に届出をしておりますが、当庁としても、風営適正化法の目的の一つであるぱちんこ営業の健全化を図る上で、全日遊連の役割に大いに期待しているところであります。

全日遊連におかれては、ぱちんこ営業者の自主的な努力やそれを促す取組は、全日遊連の姿勢や行動に大きく左右されるものであることを改めて認識し、健全化を図るべき事項について業界団体として先手を打つ、そのような気概をもつことを、くぎ問題を含め業界の健全化に取り組む上での基本姿勢としていただきたいと思います。

その上で、くぎ問題における当面の課題として、今後日工組から通知される見込みである検定機と性能が異なる可能性のある型式に係る遊技機について、通知後、可及的速やかに営業所から撤去し、適正な遊技機に入れ替えていくよう最大限の努力をお願いしたいと思いますが、その撤去・入替を円滑に進めていくに当たり、各営業者の正しい理解が必要となりますので、少し詳細にお話をしておきたいと思います。

まず、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置して営業することについて、風営適正化法違反となることはご承知のとおりかと思いますが、仮に製造業者が出荷段階でそのような遊技機に該当する性能変更に関与していたとしても、営業者がそのような遊技機を設置し続けることは、営業者として風営適正化法違反となる行為となります。

製造業者の関与があるからと言って、営業者の風営適正化法上の責任が免責されるわけではありません。

今後、円滑な撤去を進めていくに当たり、新しい適正な遊技機を順次導入していくことが有効でありますが、適正な遊技機は、日工組によればベース値が30台程度のものが想定されており、撤去対象遊技機と性能が大きく異なることも考えられ、ややもすると、一部の営業者は入替に躊躇することも考えられます。

しかしながら、検定制度上、検定機どおりの性能の遊技機を設置することが求められていることからすると、撤去対象遊技機をそのまま設置し続けることは、制度上許容されていないばかりでなく、極端な場合には、風営適正化法が禁止する著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置していることにもなりかねないことを正しく理解していただきたいと思います。

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