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パチンコ釘問題など、行政講話/警察庁保安課・小柳課長

投稿日:2016年1月26日 更新日:

全日遊連(阿部恭久理事長)が1月22日に開催した全国理事会の席上で、警察庁保安課の小柳誠二課長が行政講話を行った。

同課長は、主に「射幸性の抑制に向けて」「のめり込み問題対策」「遊技機の不正改造の絶無」「遊技くぎの問題」「遊技機の流通における業務の健全化」「賞品に関する問題」「広告宣伝の健全化の徹底」「営業所の置引き対策」について話した。

以下、その全文を掲載する。

↓↓講話本文↓↓

ただいまご紹介にあずかりました警察庁保安課長の小柳でございます。皆様方には、平素から警察行政各般にわたりまして、深いご理解とご協力を賜っているところであり、この場をお借りしまして御礼申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。

ぱちんこ業界におかれては、昨年中も、東日本大震災発生以来、継続して取り組まれている被災地に対する復興ボランティア活動を始めとし、社会福祉への支援等の様々な社会貢献に取り組まれたと伺っており、これらの行為に対しまして敬意を表する次第であります。依然として社会的な課題となっている節電等についても、低炭素社会実行計画による取組など社会の要請と真摯に向き合い、その社会的責任を果たそうと皆様がご尽力された結果、目標に向け着実に成果を積みかさねていると認識しております。

また、ぱちんこの遊技人口が減少傾向にある中、業界全体の取組として、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の設置等、遊技客が安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力が続けられているところであります。

しかし、その一方で、依然として、のめり込みに起因すると思われる各種問題や、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たず、健全化を阻害する要因が残されていることも事実であります。

そのような状況下において、昨年中も、国会等においてぱちんこ遊技客の依存問題が取り上げられるなど、ぱちんこ産業に向けられる国民の視線はこれまで以上に厳しくなっていると感じております。全日本遊技事業協同組合連合会を始め、業界の方々におかれては、業界を取り巻く厳しい現状に危機意識を強く持っていただき、ぱちんこ業界が抱える各種問題を解消できるよう、早急に有効な対策を実行していただきたいと思います。

さて、本日はお時間をいただきましたので、年頭に当たりまして、何点かお話ししたいと思います。

・射幸性の抑制に向けて
まず、射幸性の抑制に向けた取組についてです。ぱちんこ産業の現状について申し上げますと、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2015」によれば、平成26年中の市場規模は24兆5千億円、遊技への参加人口は1,150万人となりました。市場規模を遊技人口で割ってみますと、一人当たりの年間遊技費用の概算が算出されますが、200万円を超える遊技費用となり、依然として高額の費用を遊技に投入するいわゆるヘビーユーザーに頼った営業が続いているものと推察されます。

そのようなヘビーユーザーに偏った、いわば射幸性頼みの営業が、果たして、ぱちんこにのめり込んでいる方を家族に持つ方々を始めとして、多くの国民の理解が得られるものかどうか、改めて考えていただきたいと思います。

ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、今の営業実態とぱちんこに対する国民感覚とは大きく乖離しているのではないかと危惧しております。

そのような状況の中、昨年の行政講話等様々な機会を通じて、全日遊連を始めとする各業界団体に対し、射幸性の抑制に向けた取組をお願いしたところであります。昨年の業界の取組として、製造業者団体が新たな遊技機基準を設け、全日遊連としても、その基準に該当しない遊技機について、原則として認定申請を行わないこととし、段階的に当該遊技機の設置を減らしていく目標値を定めていただきましたが、その実現に向け、業界団体として更なる努力を継続していただきたいと思います。

また、その取組に加え、今後市場に投入される遊技機について、適度に射幸性が抑えられたものとするため、その製造・開発を製造業者任せにすることなく、遊技客が気軽に楽しめるという観点に立った要望・意見を、製造業者側に提案していくことが、効果的ではないかと考えております。

射幸性のみに頼らない遊技の場を提供していくためには、遊技客の費消金額や獲得賞品総額を抑えることや、偶然性に過度に依存しない遊技を新たに創出していくことが必要ではないかと思いますが、今後製造業者から販売される遊技機がそのような視点で製造されているのか、営業者側の立場からも確認していくことにより、射幸性の抑制に資する新たな遊技機を浸透させることができるのではないかと考えております。

なお、射幸性の抑制への取組は、新たなユーザーの獲得につながるという意味で、必ずしも産業を縮小させるものではないと考えております。2年前の春に、業界関係14団体を会員とするパチンコ・パチスロ産業21世紀会として「遊技産業活性化委員会」を立ち上げ、新たなファンを創出するための取組を業界を挙げて開始されたことも、今のユーザーが極度に偏っていることへの危機意識から始まったものと伺っております。

射幸性の抑制に向けた取組も、ユーザーの新規獲得、市場の開拓、営業の活性化につながるとの前提に立ち、現場の営業者が前向きに考えられるような取組方が必要であると考えております。

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