次に、依存症対策に係る連携協力体制の構築については、令和元年に、厚生労働省から各自治体に発出された通知を受けて、令和3年度末時点で、39の自治体で連携会議が開催されています。そして、ぱちんこ業界においても、連携会議に参画しているところがあると承知しています。依存防止対策については、関係機関と連携・協力して進めることが重要ですので、引き続き、連携会議への積極的な参画をお願いします。一方、自治体との連携を図る上では、連携会議への参画以外の方法もあります。この点、ある県遊協やホール企業の取組として、関係機関を巻き込む形で、依存問題に関する知識を深めるべく、セミナーを開催した事例もあると承知しています。こうした取組は、依存防止対策と真剣に向き合い、自ら積極的に関係機関と連携しているものと評価できます。こうした事例も参考に、関係機関との円滑な連携を確保するとともに、情報共有等を図ることで、依存症に苦しむ本人や家族のためにより有効な支援がなされるよう、取組を進めていただきたいと思います。
次に、ぱちんこへの依存問題やその対策に関する普及啓発については、昨年に引き続き、ギャンブル等依存症問題啓発週間にあわせて、パチンコ・パチスロ産業21世紀会が、特設ウェブサイト内において「パチンコ・パチスロ依存問題Webフォーラム」を開催し、通年視聴が可能な動画コンテンツを配信していると承知しています。こうした例も参考に、年間を通じた活動の推進により、のめり込み・依存に陥ってしまった方、大学生や新社会人をはじめとする青少年等、幅広い方に必要な情報が届くようお願いします。特に、遊技者の家族に対しては、早期に相談支援につながることができるよう、相談窓口の紹介をはじめとした普及啓発を図るようお願いします。
次に、自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援については、令和元年11月に一般社団法人パチンコ・パチスロ社会貢献機構が設立され、本年度も9団体に対して助成を行うものと承知しています。引き続き、ぱちんこへののめり込み・依存の予防と解決に取り組む団体等に対する積極的な支援をお願いします。また、リカバリーサポート・ネットワークにおいても、ぱちんこへののめり込みや依存の問題を抱える本人及び家族に対する個別相談事業を行っているところ、ぱちんこ業界全体で継続的にその活動を支えていただくようお願いします。
次に、業界の取組に係る第三者機関の活用については、第三者機関として、パチンコ・パチスロ産業依存対策有識者会議が設立され、毎年度、業界の取組について、専門的かつ第三者の視点から評価・提言がなされていると承知しています。ぱちんこへの依存防止対策について、第三者の視点を取り入れることは、その実効性確保の観点から重要であり、PDCAサイクルに基づき業界の取組を改善していくことにもつながります。引き続き、有識者会議を積極的に活用し、依存防止対策を推進するようお願いします。また、同じく第三者機関の活用としては、一般社団法人遊技産業健全化推進機構による依存防止対策の実施状況調査によって、ぱちんこ営業者ごとの取組の確認がなされています。このような第三者機関によるチェック機能を活用し、ぱちんこへの依存防止対策について、業界全体というマクロの観点と営業者ごとのミクロの観点から、推進・改善をお願いします。
以上、ぱちんこへの依存防止対策についてお話ししました。業界においては、早い時期からのめり込み・依存の問題に対処されてきたと承知しています。しかし、この問題については、依然として多くの方の高い関心が集まっており、業界としての取組が注目されています。厳しい状況が続きますが、今一度、ぱちんこには、人を引き付ける大きな力があること、それ故、人によっては、遊技が過度になってしまい、負債等の問題にまで至る場合があることを再認識していただきたいと思います。そして、ぱちんこが潜在的に持つ負の側面を防止・抑止するよう努力していただくこと、たとえ、ぱちんこへののめり込み・依存で困っている方が、店舗に来られる方の一部であったとしても、現実にそうした方がいるということを踏まえ、問題解決に向けて業界全体で真摯に取り組んでいただくようお願いします。