9月24日、遊技産業未来研究所主催の未来研究会セミナーが開催された。第51回目となる今回もオンライン形式で開かれ、PRCの中田藤生代表取締役(チャーリー・ロドリゲス・湯谷氏)、トライエッジの阿部睦マーケティング部シニアマネージャー、遊技産業未来研究所の中野忠文代表取締役社長と島田雄一郎取締役副社長ら4名が講演した。
「新しいコンセプトで顧客創造を!」をテーマに講演した中田代表取締役は、直近のお盆明け後の稼働状況や、年間での営業推移をまとめた他、過去5年間における営業推移のデータからは、「パチンコの平均玉単価は大当たり確率1/399タイプが設置されていた2016年よりも2020年は高い数値を示しており、これはコロナ禍の状況を踏まえても尋常ではなく、ユーザーが離反してしまうのは当然である」と指摘。またパチスロにおいても「バジリスク絆」といった人気機種が昨年撤去された影響が大きく、2020年の平均アウトの落ち込みが著しいとし、現状について「ユーザーの減少は否めず、ギャンブルを求めるヘビーユーザーしか残っていない。特に、中高年層のパチンコユーザーの離反から、再度集客するのは難しい。そのため『しばらく稼働アップが難しい』事を前提に、戦略を作り直す必要がある」と述べ、パチンコ店の提供価値は何かといった点などに触れながら、今後の対策についてまとめた。
阿部睦マーケティング部シニアマネージャーは、「ユーザーと正しいコミュニケーションが行えているか」といった視点から、店内における装飾物や出来事で、ユーザーの信頼を失っている可能性があることについて言及。パチンコにおいては特殊なスペックを説明する台間POPなどにおいて、誤解を招く表現や敬遠されてしまう説明の具体例の他、稼働停止させている台においてもユーザーに誤解を生む要素があるとした。その他、「今さら聞けないデジタルマーケティング講座」と題して、スマートフォンを活用したマーケティング戦略が必要な時代におけるネット広告について解説が行われた。
島田雄一郎取締役副社長は、9月の高稼働店舗とその特徴をまとめる中で、触れるものは極力減らすことなど最近の変化の一例を挙げ、「台間POPといった遊技者が触るものが無くなっている傾向があり、これは新台ごとに作成する必要が無くなるといった新台導入時の労力削除にも繋がっている。今は繁栄店ほどシンプルで、不振店になればなるほどごちゃつく傾向にある」と述べた。
中野忠文代表取締役社長は主にパチンコのタイプ別で見た稼働推移の他、市場に多く登場し始めた遊タイム機の各性能についてまとめた上で、「現状では『遊タイムの種類』による優劣は見られない状況であり、機械の出来栄えが最重要である」と分析。また、遊タイムの仕様を正しく伝え効果的な運用を行うことで、(ユーザーの誤解による)到達時の非発動や、遊タイムスルーといったトラブルやクレームに繋がりやすい場面を未然に防止することが可能だとまとめた。