公益財団法人日本生産性本部(茂木友三郎会長・代表理事)余暇創研はさる7月19日、東京・ビジョンセンター永田町で「レジャー白書2018」の概要を発表した。当日は、余暇創研の志村武範主幹研究員と桜美林大学ビジネスマネジメント学群の山口有次教授が概要を説明した。
同書は2017年における余暇市場のさまざまな統計データをまとめたもので、娯楽部門に属す「パチンコ」は参加人口が前年比40万人減少して900万人となり、市場規模(貸玉料・貸メダル料)も前年比4.3%減少して19兆5,400億円となった。
パチンコ参加人口は、2011年に410万人の大幅減で1,260万人となり、2012年にはさらに150万人減少して1,110万人に、2013年には970万人と落ち込み、ついに1,000万人を割ってしまった。
しかし、2014年には1,150万人と回復、2015年は1,070万人に減少したものの1,000万人以上をキープしていた。しかし、2016年では前年より130万人少ない940万人となり、今回さらに減少して900万人と過去最低値を記録した。約3,000万人の参加人口があった昭和から平成の初め頃にかけたピーク時と比べると3分の1以下にまで落ち込み、パチンコへの参加減少はさらに歯止めがきかない状況が続いている。
参加率も前年比0.3%減少して9.0%となり、1年間におけるパチンコの平均活動回数は、前年から0.4回減少して29.4回となった。年間平均費用は8万5,100円と前年より3,800円の減少。1回当たりの平均費用は2,890円となり、パチンコを今後やってみたい、継続したいという人の比率を表す参加希望率は5.7%で前年より0.9%減少した。
市場規模は8,780億円(4.3%)減少の19兆5,400億円。2012年に増加に転じたものの2013年以降4年連続して下落、参加人口の減少をもろに受けた結果となった。白書では「パチンコ・パチスロは20兆円の大台を割り込み、2年連続の大幅減となった」と記している。
一方、余暇市場全体の規模は69兆9,310億円で、前年比0.2%の増加とわずかであるがプラスとなった。市場規模が突出しているパチンコ・パチスロを除くと余暇市場は2.1%の増加となり、これは5年連続のプラス成長となった。インバウンド効果で、観光・行楽部門が伸び、スポーツ部門もプラスとなった。
2017年における参加人口の上位4種目は、①国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)、②外食(日常的なものは除く)、③読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての)、④ドライブ、⑤映画(テレビは除く)だった。
「国内観光旅行」は7年連続首位、順位が上昇した種目は「音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)」「カラオケ」「温浴施設(健康ランド、クアハウス、スーパー銭湯等)」「ビデオ鑑賞(レンタルを含む)」「音楽会、コンサートなど」「テレビゲーム(家庭での)」で、これらの種目は参加人口も前年を上回った。音楽関連の種目が順位を上げ、参加人口を増やしているほか、「テレビゲーム」「トランプ、オセロ、カルタ、花札など」といったゲームも参加人口を増やした。特に「将棋」は藤井聡太七段ら新旧スターの人気が高まったこともあり、参加率が前年の5.3%から7.0%へと目立った伸びを示した。
パチンコ・パチスロが属する「娯楽部門」は、「テレビゲーム」が回復、「公営ギャンブル」が堅調、「パチンコ・パチスロ」「宝くじ」がマイナスだった。
なお、発表会では、IR実施法が成立したとして、カジノ開設が与える余暇市場への影響について、山口教授が私見として、IR施設は新たなマーケットを作ると予想。現状の余暇市場の推移では、公営ギャンブルやパチンコ・パチスロといった既存マーケットを喰って、インバウンドや富裕層を巻き込むだろうと予測した。
山口教授は「今はIRのみの計画で、ギャンブル等を巻き込んだレジャー全体の構想はされておらず、カジノができることで余暇市場を大きく押し上げる期待は薄いだろう」とした。
調査は、2018年1月にインターネット調査により、有効回答数は3214人(全国15~79歳男女)。なお、今回よりパチンコ18歳以上、公営競技等の参加年齢を厳格化した。白書は8月6日に発行予定。