次に遊技機の流通における業務の健全化についてお話しします。
遊技機の設置や部品交換に伴う手続において、遊技機製造業者が作成する保証書に関し杜撰な取扱いが立て続けに判明したことに加え、不正に改造された遊技機が営業所に設置される事案が発生していたことから、当庁から製造業者団体に対し、遊技機が各営業所に流通する過程においても型式の同一性が担保される制度の構築と、その運用に関するルールの明文化を要請したところ、製造業者団体において、「製造業者遊技機流通健全化要綱」及び「遊技機製造業者の業務委託に関する規程」が制定され、平成28年4月より運用が開始されました。また、この要綱等の施行後、製造業者団体が、ぱちんこ営業者向けに「遊技機流通健全化マニュアル」を策定し、各種研修等も行われているものと承知しています。運用開始当初は不慣れな対応によるミス等が生じたと聞いていましたが、現在は制度の理解も進み、不備も減少していると聞いています。遊技機の流通に携わる関係者が正しく制度を理解するよう、繰り返しの研修の機会を設けるなどの取組を継続していただくとともに、今後も個々の運用を通じて制度の不備等が考えられる場合には、必要に応じて制度の更新も視野に入れるなど、遊技機の流通における健全化を一層図っていただきたいと思います。
平成28年4月以降に販売された型式の遊技機については、部品交換の際、変更承認申請に係る保証書の担保として、遊技機の状態が検定機と同一かどうかの点検確認を遊技機製造業者等が一台一台実施することとなりました。また、遊技機の営業所への設置時や部品交換時に行う遊技くぎの点検確認は、これまで目視で行われていたところ、昨年4月以降に新台として設置されるぱちんこ遊技機から、目視による確認の補助として「くぎ確認シート」等の器具が使用されていると承知しています。こうした取組により確認の精度も向上し、遊技機流通の健全化も進むものと考えています。くぎ確認シートの中には、全ての遊技くぎを対象としていないものがあるなど、各製造業者で区々であるとも聞いておりましたが、現在、改善に向けた検討を進めていただいていると承知しています。今後、運用を通じて更に改善を進めていただくようお願いいたします。
新たな流通制度を厳格に運用することは、射幸性の適正管理につながるものであり、ぱちんこへの依存問題対策においても大きな意味を持つものであります。保証書の厳格な取扱いが遊技機の射幸性の適正管理に必要不可欠であり、検定機として遊技機を営業所に設置し、都道府県公安委員会の承認を得ている以上、検定機と同一の構造・性能の遊技機を置かなければならないことを改めて認識していただきたいと思います。
今後も、新たな流通制度が現場にしっかりと根付き、業界の更なる健全化が進展することを期待しております。
次に、ぱちんこ営業の賞品に関する問題についてお話しします。
まずは賞品買取事犯の根絶についてです。
賞品買取事犯については、近年増加傾向に歯止めがかからなかったことから、平成27年4月に、風営適正化法に関する処分基準のモデルの一部を改正し、現金等提供禁止違反及び賞品買取禁止違反についての量定基準を見直し、営業停止の基準期間を3月相当に引き上げたことは皆様も御承知のとおりです。貴連合会におかれましても、今一度、営業者一人一人にまで、賞品買取行為の規制は、ぱちんこ営業と賭博の一線を画す重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わるものであるということを周知徹底していただきたいと思います。
次に、賞品の取りそろえの充実についてです。
遊技客の多様な要望を満たすように多種多様な賞品を取りそろえることは、非常に重要なことであり、業界においてもその重要性を認識しているからこそ、平成18年にぱちんこ営業者関係5団体による「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」がなされたものと承知しておりますが、今一度、この決議の重要性を認識し、そうした意識が業界の共通認識となるよう貴連合会が業界をリードしていただきたいと思います。
最後に、適切な賞品提供の徹底についてです。
ぱちんこ店における賞品の提供については、等価交換規制が設けられていることは皆様も当然御承知のことと思いますが、残念ながら、等価交換規制に基づかない賞品提供が行われている状況が認められます。今一度、各ぱちんこ営業者の皆様にあっては自身の営業所の賞品が等価交換規制を遵守したものとなっているか確認し、遵守できていない疑いのあるものは排除していただくようお願いします。適切な賞品を適切に提供するということは国民の身近な娯楽としてのぱちんこ本来の姿を取り戻す上で、非常に大切なことであると思います。改めて徹底していただきたいと思います。
次に、広告・宣伝等の健全化の徹底についてお話しします。
広告・宣伝等の規制については、依然として、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をそそるものや、くぎを開くなどの違法行為の宣伝に関するもの、隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案が発生しており、非常に残念に感じています。こうした広告・宣伝を行うことは、現在業界で進めているぱちんこへの依存防止対策に逆行する行為にも当たるのではないかと思います。このような違法な広告・宣伝等については、今後も指導・取締りを行っていきますが、警察の指導・取締りによって健全化が進められるのではなく、業界全体で認識を改めていただき、業界自らの取組によって広告・宣伝の健全化が進められるよう努めていただきたいと思います。