全日遊連(阿部恭久理事長)が1月19日に開催した全国理事会の席上で、警察庁保安課の山田好孝課長が行政講話を行った。
昨年9月に保安課長に就任した山田氏は、「ぱちんこへの依存防止対策」「射幸性の抑制に向けた取組」「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機」「遊技機の不正改造の絶無」「遊技機の流通における業務の健全化」「賞品に関する問題」「広告宣伝の健全化の徹底」「ぱちんこ営業所における置引き対策」について話した。
以下、その全文を掲載する。
↓↓講話本文↓↓
ただいま御紹介にあずかりました警察庁保安課長の山田でございます。
昨年9月に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様方には、平素から警察行政の各般にわたりまして、深い御理解と御協力を賜っているところであり、この場をお借りして御礼申し上げます。
ぱちんこ業界の皆様におかれましては、東日本大震災発生以来、継続して取り組まれている復興ボランティア活動のほか、平成28年4月に発生した熊本地震においても、積極的に被災地支援に取り組まれたものと承知しています。加えて、社会福祉への支援、低炭素社会実行計画に基づく節電・省エネルギー対策等の社会貢献活動にも積極的に取り組まれ、着実に成果を上げているものと認識しており、これらの取組に対しまして、改めて敬意を表する次第であります。
また、ぱちんこの遊技人口が減少傾向にある中、業界全体の取組として、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の設置等、遊技客が安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力が続けられていると承知しています。しかし、依然として、ぱちんこへの依存問題のほか、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たず、健全化を阻害する要因がいまだ多く存在することも事実であります。特にぱちんこへの依存問題については、国会や報道等においても大きく取り上げられるなど、的確な対応を迅速に進める必要があります。
貴連合会を始め、業界の皆様におかれましては、業界が置かれている厳しい現状について危機意識を共有していただき、適切かつ着実に取組を進めていただきたいと思います。
さて、本日はお時間をいただきましたので、年頭に当たりまして何点かお話をさせていただきたいと思います。
最初に、ぱちんこへの依存防止対策についてお話しします。
ぱちんこへの依存問題については、平成28年12月に成立したいわゆるIR推進法の審議において重大な問題として指摘されたほか、同法の附帯決議において、「カジノにとどまらず、他のギャンブル・遊技等に起因する依存症を含め、ギャンブル等依存症対策に関する国の取組を抜本的に強化するため」、「関係省庁が十分連携して包括的な取組を構築し、強化すること」とされるなど、ぱちんこを含めたギャンブル等依存症への対策の強化が求められました。
こうした動きを受けて、平成28年12月に開催されたギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議においては、「幅広くギャンブル等依存症全般について、政府一体となって包括的な対策を推進する」とされ、昨年3月、同会議において、「ギャンブル等依存症対策の強化に関する論点整理」が決定されました。
論点整理においては、「出玉規制の基準等の見直し」、「営業所の管理者の業務として依存症対策を義務付け」等がぱちんこへの依存防止対策の課題として掲げられ、先般、出玉規制の強化や管理者の業務への依存防止対策の追加等を内容とする風営適正化法施行規則及び遊技機規則の一部を改正する規則が制定・公布され、本年2月1日に施行されることとなりました。
今回の規則改正により、改正規則が施行される本年2月1日以降は改正規則に適合しない遊技機は設置することができなくなります。ただし、改正規則に規定される経過措置により、改正規則の施行後であっても、現行基準による認定を受けた遊技機又は検定を受けた型式に属する遊技機については、当該遊技機の認定又は検定の有効期間が満了するまでは、引き続き、営業所への設置が認められます。改正規則の施行日が間近に迫っていますので、規則改正に伴って、必要となる遊技機の入替え等を適切に行っていただくようお願いいたします。
また、現在、業界において、ぱちんこへの依存防止に資する各種取組が進められていますが、今回の改正で営業所の管理者の業務に依存防止対策が追加されることによって、営業所で行われている各種の自主的な取組が管理者の業務として位置付けられることとなります。
営業所の管理者の皆様にあっては、
・ぱちんこへの依存問題の電話相談機関である、リカバリーサポート・ネットワークの営業所内外における周知
・本人・家族申告によるアクセス制限の仕組みである、自己申告・家族申告プログラムの導入
・過度な遊技を行わないよう客に対する注意喚起の実施
・18歳未満の者の営業所立入禁止の徹底
等のぱちんこへの依存防止対策が各営業所において確実に実施されるようお願いします。