業界の一般論で言えば、このところずっと「大型店の収益性が中小店の収益性よりも優位」という状況が続いている。収益性の低い大型店は切り売りされるケースも珍しく、コロナの世の中になってからは業績にさほど問題がない法人であっても自社内での店舗整理が進んでいることもある。結果、残った大型店の収益性は優位というのは考えれば当たり前のことでもある。
その大型店は設備投資に積極的であり、その逆もまたしかり。結果、「大手と中小」という格差の二極化が進んでいった。これは近年というよりもこの20年以上の大きな流れと言ってもいいだろう。
そんな中、スマートパチスロの登場で、また供給不足の世の中ということもあって、二極化というよりも多極化の様相になってきた。中小だから無理ゲーということでもなく、私の知る限り、単店のところでもスマートパチスロの先行導入が実現するところもあるのである。
スマートパチスロ登場前夜の今、先行導入店は導入機種の業績が6.5号機を凌駕することを望んでいるのは間違いない。性能的なアドバンテージはもちろんのこと、そもそも遊技メダルがないことから(メダルはないので疑似的な)IN枚数は、客がメダルに触れる工程を端折ることによって、少なくとも単位時間当たりのIN枚数は向上する。これは理論上当然の結論となる。
だから期待も大きい。先行導入店は多少の無理をしてでも導入しているところも多い。これは、期待の大きさゆえだし成功してほしいと私も思っているし、成功する確率も低くはないと思っているが、遊技機の成否を決めるのは遊技客だ。客がどのような反応をするかは導入後にしかわからないのである。
まずはスマートパチスロ登場前夜に店舗の属性グラデーションは急拡大した。先行導入の可否という違いで目先の業績がどうなるか。スマートパチスロがスタートから大成功となれば先行導入店は優位になるし、初速が鈍足なら先行導入できなかったところにむしろ費用対効果の面でアドバンテージがあり収益性で勝負できることになる。いずれはスマート遊技機が市場の主流となり、しっかりとした中古市場も形成されて一大市場となるとは思うが、供給不足の世の中ではその時期が読めない。
まずは属性グラデーションの拡大からのスマートパチスロのスタートである。スタートがどうなるか、導入するしないを問わず、皆が注目の年末商戦がそろそろ始まる。
■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。