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【コラム】香港のギャンブル事情(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2021年1月27日 更新日:

マカオ=カジノ、香港=国際金融都市といったイメージが強いが、香港にもギャンブルは存在する。政府の認可を得た合法ギャンブルは、世界的にも有名な「香港競馬」、数字選択式宝くじ「六合彩(マークシックス)」、海外の競馬とサッカーの試合を対象とした「海外スポーツベッティング」のみだ。いずれも香港の競馬競技団体にあたる香港賽馬会(ジョッキークラブ)が運営している。

マカオは人口約68万人の小さな地域だが、インバウンド旅客数は年間約4000万人規模にも達しており(コロナ前)、カジノ売上の97%をインバウンド旅客が占めるとされる。一方、香港の人口は約750万人に対して年間インバウンド旅客数は約5500万人。マカオのインバウンド旅客は大半が中国本土からのレジャー目的だが、香港は国際旅客、ビジネス目的の旅客も多い。香港のギャンブルは地元市民がメインだ。マカオのカジノ施設では、中国本土からの旅客向けの簡体字のサイネージが多く掲げられ、あちこちから北京語が聞こえてくる。香港の競馬場や場外馬券売場ではそのようなことはなく、中国本土旅客の姿もほとんど目立たないように感じる。

香港の面積は東京都のおよそ半分で、競馬場が2ヶ所、場外馬券売場は100ヶ所以上ある。競馬、マークシックス、海外スポーツベッティングとも香港域内からであれば、公式サイトや公式アプリを通じて投票することができる。香港賽馬会の資料によれば、総ベット額に占めるオンライン比率は2019-20年シーズン時点で7割超とのこと。

コロナ禍でボーダーを跨ぐ移動が大きく制限される中、マカオではインバウンド旅客が激減し、カジノ売上も低迷を余儀なくされた。一方、香港競馬は昨年(2020年)9月6日に2020-2021年シーズンが開幕。競馬場では入場制限が行われ、場外馬券売場もクローズした中、同日の総馬券売上高は前年の開幕日から6.83%増となる13.76億香港ドル(約182億円)に上り、2017~2018年開幕日に記録した最高額を更新。記事執筆時点(2021年1月上旬)においても香港域内では新型コロナの流行が続いているが、香港競馬はスケジュール通り開催されており、売上もコロナ前と比較して遜色ない。ただし、庶民の娯楽として人気が高いマークシックスについては、場外馬券売場の密を避けるため、状況に応じて開催回の調整が行われた。サッカーくじでは海外における試合の開催有無による影響があった。

香港の競馬、マークシックス、海外スポーツベッティングとも、インバウンド旅客が投票することは可能だ。競馬は香港の観光アイコンとしても有名で、観光客向けの観戦ツアーも存在する。投票用のマークシートは日本の競馬、ロト6、totoと似たようなフォーマットだが、香港独特のルールや賭け方もあり、トライする場合には事前にしっかりチェックしておきたい。なお、競馬場へ行かれる際、クラブ会員エリアやボックス席ではドレスコードが設定されているので要注意。一般席であれば特に気にする必要はない。

香港とマカオの市街地の間は高速船、もしくは2018年に開通した港珠澳大橋経由のバス利用で約1時間。どちらも高頻度かつ24時間サービスを展開しており、運賃もバスなら日本円で1000円以下だ。香港からマカオのカジノへ遊びに行くのは気軽といえる。実は、マカオへ行く以外にも、香港を拠点にカジノ遊びができる方法が存在する。

クルーズ船だ。香港発着1泊2日のカジノ付きクルーズ船が数多く就航している。概ね夕方香港を出港し、翌朝香港に戻るパターンで、夜から早朝にかけての船が公海上にいる間のみカジノがオープンする。筆者も何度か乗船したことがあるが、乗客は中国本土旅客がやや多いものの、香港人も一定数いるように見えた。料金は船のランクや曜日などによって異なるが、香港の中~高級ホテルの料金と変わらないものもあり、夕食、夜食、朝食のビュッフェスタイルの食事が含まれるためコスパも良いと感じる。そもそも夜通しカジノで遊ぶギャンブラーにとって客室にこだわりはないだろう。船内にはレジャー・アミューズメント設備も揃う。香港のホテル価格は高止まりしているので、ホテル代わりにしてみるのもいい。国際カジノ大手のゲンティン系列が運航するクルーズ船は設備やサービスも充実しており、ネット予約にも対応する。なお、コロナ禍でクルーズ船のリスクが浮き彫りになった。香港発着1泊2日のクルーズ船も一時休止を余儀なくされている状況だ。

香港島 ハッピーバレー競馬場

香港島の市街地に位置するハッピーバレー競馬場ではシーズン中の毎週水曜日にナイトレースが開催される(筆者撮影)

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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