【寄稿】黒川麻雀騒動/POKKA吉田

先月号では触れなかったが、5月は特殊な出来事があって、刑法の賭博の罪についてのいろんな意見が世間で噴出した時期である。それよりもコロナ禍や休業要請解除、都遊協の事実上の休業要請拒否などの出来事を優先したので先月号では触れなかったわけだが、今回、少し触れてみたい。

その出来事とはもちろん黒川弘務東京高検検事長(当時)の点ピン麻雀である。黒川氏の処遇を巡っては検察庁法改正案が野党、そしてSNS上などで多くの人の激しい反対意見が噴出していたこともあいまって異様な状況になってしまう。週刊文春恐るべしと言えばそれまでであるが、5月21日号で産経新聞社2名、朝日新聞社1名と点ピンで麻雀に興じていたことが報じられることで事態は急変する。

黒川氏は東京高検検事長を5月22日に辞任したが、国会で追及されて法務省の刑事局長が「高額とは言えないレート」と答弁したことも異様だった。これは法務省が「点ピン麻雀は高額ではないのでセーフと言った」というように多くの人が考えることになる。

黒川基準と揶揄された点ピンレートの麻雀を検察庁前でやろうという黒川杯というイベントまで登場する始末。結局黒川杯は警察が現場でかなり抵抗?したため、主催者側は賭け麻雀をすることはできなかった。

麻雀をやる人にとっては、賭けはセットである。ぱちんこの換金行為とは異なり、麻雀の賭けについては政府の合法的解釈等は私の知る限り存在しない。賭け麻雀が常態化している雀荘というのは今でも多いようだ。これはゴルフの握りのようなもので、麻雀をやる人にとっては当たり前の風景である。もっとも今は健康麻雀やノーレート麻雀という、麻雀を一種のゲーム、頭脳スポーツとして捉えて楽しもうという動きも多い。業界からも参戦しているMリーグは賭け麻雀がご法度であり、ドラフトで選ばれたMリーガーはMリーグの対局以外でも賭け麻雀をすることが許されていない。

過去の摘発例には、点ピンよりももっとレートの低い賭け麻雀で摘発されたケースがあったように記憶している。たしか、雀荘の宣伝用のポケットティッシュにレートが書いてあり、雀荘の自動雀卓の得点計算表示部がそのまま金額になっていたということだったように記憶している。このときはたしか点ピンよりもレートは下の点5だったらしい。もちろん店(雀荘)が来店客にレートを指示というか示唆して金額がそのままでてくるような状況で営業をしていると摘発されるのはわかるのだが、それとて点5である。

また、麻雀をやる人はわかると思うのだが、点ピンはたしかに高額のレートではない。しかし、赤の有無やチップの額、役満祝儀などを含めると、動くときは一日(10時間)もやれば1~2万円には収まらず、5万超えの勝ち負けも珍しくはない。このため私の感覚では「点ピンは高額レートではないが安いレートでもない」となる。少なくとも4円島で319タイプを打つくらいの射幸性になっていると私は考える。

黒川氏は決まった面子で何度も繰り返し専用部屋?で麻雀に興じていたというから、点ピンでの麻雀のべ時間はかなりのものだっただろう。漫画の世界に出てくるような数千万円などの超高額レートとは全く異なるが、みんなの実力がほとんど同じでない限り、そこそこの金額は動いていたはずだ。

ただ、法律論以前に、刑事事件の被告を起訴するのが仕事の検察の偉いさんが点ピン麻雀をやっていたことを認め辞職をしたけど法的に責任追及されていない(立件されていない)ということは事実である。この先、「点ピン麻雀で摘発」ということがどこかであれば、それがよほどの別件摘発(暴力団関係とか)のためでない限り、報道は異様な盛り上がりを見せる可能性がある。普通の人たちが趣味で点ピン麻雀をやっていて摘発されたとなると、その摘発の是非も含めて大議論が勃発することだろう。

文春の記事は何重にも突っ込みどころ満載の出来事を上手くまとめていた。そもそも緊急事態宣言中であり、刑事裁判の予定もコロナで影響が出ていたまさにその最中。しかも自身のための定年延長閣議決定や検察庁法改正の国会議論と、世間が「黒川氏に大注目している」ときに、仲良かったのだろうが、新聞社の社員3人と点ピンつまり賭け麻雀に興じていたというのだから、事態は異様だった。黒川杯などの動きは黒川氏を面白おかしく取り上げたイベント系?みたいな話に違いないが、ココロの中では「偉い検察官なら摘発されない」「庶民も点ピンまでは許せよ」という想いが充満していたのではないだろうか。

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