(旧)技術上の規格解釈基準より抜粋
(1)ト(ト)
高確率時の条件装置の作動回数に制限を設けている場合のPは、当該制限値と上記の計算値の小さい方である。
(旧)解説
(1)ト(ト)
リミッター回数を設けている場合の期待回数は、確変継続期待回数とリミッターを比較して小さい方で計算してOK
規則にはMNRSという基準があるが、その計算についての説明。例えば「100%次回確変機」は基準を満たさないが、リミッター搭載機ならリミッター回数を期待回数とできる。
(新)技術上の規格解釈基準より抜粋
条件装置の作動確率が高い値のまま条件装置が作動する回数に上限を設けている場合のPは、当該上限値と上記の計算値の小さい方である。
なお、上記の場合において、最初に作動した条件装置に係る図柄の組合せに応じた2つの異なる上限値を持つことは、α=1、β=0であり、かつ、一の上限値に係る 図柄の組合せが表示される確率の値をいずれかの上限値に係る図柄の組合せが表示される確率の値で除した商が1/10以上9/10以下であるときに限り、差し支えない。この場合におけるPは、当該2つの異なる上限値のうちの大きい方である。
(新)解説
リミッター回数を設けている場合の期待回数は、確変継続期待回数とリミッターを比較して小さい方で計算してOK。
なお、初当たり図柄に応じて「2つのリミッター」を搭載することもOKだが、その場合は条件がある。例えば「リミッター10回」と「リミッター5回」図柄がある場合、その割合が10%と90%なら「10%÷90%=1/9」となるが、この数値が1/10~9/10に収まればOK
今までリミッター回数は「一通り」しか設けることができなかったが、今後は「二通り」まで設けることが可能となる。例えば「777なら10回リミッター」「その他は3回リミッター」といった機種が可能となる。ただしこれは「初当たり時」に決まるものなので、例えば「初当たりが444」だったなら、その後の3回リミッターまでの間に「777」を引いてもリミッター回数が増える訳ではない。また、計算自体は「二つのリミッターの回数が多い方」でやるため、出玉性能がUPするものではない。また二通り搭載する場合には、それぞれの大当たり割合にも制限がある。
大きくはこの「時短性能」と「リミッター」で、その他でも一部「チップ部品の搭載」部分の緩和や、パチスロでも「貯留メダルの操作」部分で、遊技可能な間のみでOKとなるなどの微修正、その他「天井時短」が可能になったために「特別図柄表示装置上の図柄の表示回数等」の結果で電サポ開始が不可だった部分が削除されたなどの変更部分がある。
今回の解釈基準改定で、ぱちんこ遊技機のバリエーションは大きく広がりそうだ。一方で「天井時短が付く」なら、その分は当然「RUSH時の期待出玉を減らす」などの調整が必要となる。例えば「1/319」の機械に800回の天井時短を付けた場合、800回以上のハマリはなくなるため実質1/290程度の機械と同等となり、出玉面での射幸性は若干減少する。
ただし、パチスロにしかなかった「天井」という機能が、ぱちんこファンにもそれに近いゲーム性が広がるメリットは大いにあるだろう。また、例えば甘デジなどでは「上限250回で、最低でも一時間に1回は時短が来る。その代わり通常時ベースは低い」といった、今までにない機種が登場するかもしれない。
元々、今回の緩和の方向性としては「大当たりした遊技者しか、電サポの恩恵を受けられない」という点を「大当たりしなくても電サポを体験できる」という、射幸性とは反対の「のめりこみ防止」の精神から始まったものだ。この解釈基準は2020年1月6日から施行される。早ければ春から夏前には、新たな遊技機が登場するかもしれない。
規則改正による旧基準機撤去という大きな課題がある2020年、ぱちんこに新たな兆しが見えそうだ。今後の遊技業界に期待したい。
■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。