先日12月20日に警察庁生活安全局保安課長名義で「警察庁丁保発第177号」として「技術上の規格解釈基準について(通知)」が発出された。これは2017年12月14日の「警察庁丁保発第175号」が改正されたもので、2020年1月6日より施行される。
注目されるのは、パチスロではなじみのある「天井機能」に近いものとして「一定回転数での時短突入」といった機能が搭載できることに加え、現状の上限である「時短100回」についても上限が撤廃された点だ。さらに複数種類のリミッター回数を設けることも可能となる。
以下に、発出された「技術上の規格解釈基準(通知)」を分かりやすく新旧を並べて、その解説をしてみたい。まずは(旧)解釈基準の原文と、その解説から。
(旧)技術上の規格解釈基準より抜粋
(1)ホ(ロ)
遊技機が、普通電動役物に係る入賞口の開放等の時間、開放等までの時間、開放等の回数及び普通電動役物が作動することとなる図柄の組合せが表示される確率を入賞が容易となるように変動させる場合には、
・変動の契機が、役物連続作動装置の作動終了時のみ
・変動が、条件装置の作動確率が高い値となっている間又は100回の条件装置の作動に係る抽せんを行うまでの間に限られているもの
・変動している間に獲得された遊技球数を発射された遊技球数で割った値が、1を超えないもの
という性能である限り、当該遊技機の当該性能は、リ(ロ)に抵触しない。
(旧)解説
電サポの条件としては
・電サポ開始は大当たり終了後のみ
・電サポ回数の上限は、確変中の間、または通常時なら最大100回まで
・電サポ中のベースは100を超えない
という性能ならOK
これが(旧)解釈基準だ。ご承知の通り、「電サポ開始は大当たり後のみ」で、「電サポは確変中」か、または「通常時なら最大100回」となっており、電サポ中は玉が増えてはいけない決まりになっていた。では(新)解釈基準はどう変わったのか。
(新)技術上の規格解釈基準より抜粋
遊技機が、普通電動役物に係る入賞口の開放等の時間、開放等までの時間、開放等の回数及び普通電動役物が作動することとなる図柄の組合せが表示される確率を入賞が容易となるように変動させる(入賞が容易となるように維持させることを含む。以下この項について同じ。)場合には、
以下のいずれかの性能である限り、当該遊技機の当該性能は、リ(ロ)に抵触しない。
a 役物連続作動装置の作動終了時を契機として変動するものであって、当該変動が、条件装置の作動確率が高い値となっている間又はあらかじめ定められた回数の条件装置の作動に係る抽せんを行うまでの間に限られているもの(変動している間に獲得された遊技球数を発射された遊技球数で割った値が、1を超えないものに限る。)
b 条件装置の作動確率が低い値となっている間に、条件装置の作動に係る抽せんの結果につき、設定ごとにあらかじめ定められた回数連続して(1/MLの2.5倍以上3.0 倍以下の回数に限る。)条件装置が作動しなかったことを契機として変動するものであって、当該変動が、あらかじめ定められた回数の条件装置の作動に係る抽せんを行うまでの間に限られているもの(変動している間に獲得された遊技球数を発射された遊技球数で割った値が、1を超えないものに限る。)
c 条件装置の作動確率が低い値となっている間に、特別図柄表示装置にあらかじめ定められた図柄の組合せ(条件装置及び特別電動役物を作動させることとなる図柄の組合せを除く。)が表示されたことを契機として変動するものであって、当該変動が、あらかじめ定められた回数の条件装置の作動に係る抽せんを行うまでの間に限られているもの(変動している間に獲得された遊技球数を発射された遊技球数で割った値が、1を超えないものに限る。)
(新)解説
電サポの条件としては
a 大当たり終了後に開始し、確変中の間、または規定回数で終了
b 通常時に、大当たりが規定回数まで発生しなかった場合(規定回数は低確率の2.5倍~3倍)に開始し、規定回数で終了
c 通常時に、特定のハズレ図柄停止で開始し、規定回数で終了
※ただしabc全て、電サポ中のベースは100を超えないこと
という性能ならOK
電サポ開始条件は「大当たり後のみ」だったのが、新たに2つ加わった。今までの「大当たり後」の他に「規定回数まで大当たりしなかった場合」という天井に近いもの、そして「特定のハズレ図柄停止で電サポが開始」というものだ。
まずは「規定回数まで大当たりしなかった場合」から。こちらは、いわゆる「天井時短」と言えるものだが、その天井回数は「大当たり確率分母の2.5倍~3倍の回数に限る」となっている。例えば1/319.7の台であれば、800回~959回の間で天井時短を設定できることになる。
次に「特定のハズレ図柄停止で電サポが開始」について。こちらは例えば「3・4・1」というハズレ図柄が止まった場合に、低確率のまま電サポが始まる、というものだ。今まで「突確」のように、大当たりを引いた後に電サポが始まるものはあったが、新たに「大当たりを引かなくても時短開始」という機能が搭載できる。
最後に「時短は規定回数で終了」となっている点について。今まで通常時の電サポは「100回を超えない」という条件が緩和されたものだ。今後200回や300回という時短が搭載される可能性は十分にあるものの、では「時短10,000回」など事実上「大当たり確定」となる時短が搭載できるのかは現時点では定かではない。また「一種+二種」など、「時短=事実上の大当たり確定」となる機種についても、どこまでが許容範囲なのかは分からない。このあたりは今後、組合などで話し合われて内規が決まると推測される。
次にリミッターについて。まずは(旧)解釈基準の原文と、その解説から。