【コラム】スペック性能とユーザー印象(後編)/ぱちんこ開発者の独り言

ぱちんこ開発者の独り言55
人の印象、特にぱちんこ業界においてユーザーの心象を構築されるため無意識につけられる評価は、多数の中でどの位置にいるかを判定する「相対評価」によって決まることが非常に多い。

ユーザーの遊技動向において、どのホールを選択するのかという場合、そのユーザーが打ちに行くことが可能(行動範囲内)なホールの中で、ユーザーが相対的に評価を下した順位によって、選択される率が高くなっていくというのはごく一般的な話である。

また、ホール内遊技機選択においても同様で、ユーザーの遊技機における相対評価が遊技機選定における重要な指標の一つであるのはお分かりになるかと思う。特に遊技機に関しては設置期限があり、今現在、設置されている中から選択しなければならないため、過去の台と印象において比較をするが、遊技選択しようが無い。

すなわち、ユーザーに良い印象を構築するのは非常に難しい課題であるといえるのであるが、ユーザー印象のデータ化はできないわけではないのである。

例えば、とある中学校で中間テストがあったとする。1学期の中間テストでは、平均点が85点で、最高得点は100点をとったA君だった。一方、別の中学校でも同じ時期に中間テストがあり、平均点は25点であり、最高得点は70点をとったB君だった。当然別の中学なので、試験問題は全く違うものである。

〇〇中学校 ・・・ 平均点85点 最高得点100点(A君)
▲▲中学校 ・・・ 平均点25点 最高得点70点(B君)

この場合、〇〇中学校のA君、▲▲中学校のB君、どちらの子の方が、その中学校で凄いと評価されているだろうか。

おそらく、〇〇中学校のテストは多くの子が高得点でA君と差がなく、▲▲中学校では70点とはいえ、平均点の2倍以上の点を獲得しているB君の方が評価されている気がしないだろうか。

つまり、ユーザー印象のデータ化とは、数値化可能であるデータの横並び比較をすることで、データ化を目指す。というものである。数値データの横並びができれば、あとはその数値データを使用し、どのように分析するかの話であるが、そこはユーザーの動向し好、すなわち結果から、どの数値がユーザーの印象に影響を及ぼしているのかを推測し、仮説を立てる方法が一般的である。

最後にホールにおける遊技機選定者の方々に参考になる話をしたいと思う。

遊技機スペック性能の数値化、横並びの比較及び、新台導入初日及び2日目のユーザー動向の数値化(朝一の支持率、閉店前の支持率、稼働、単価、稼働時間等)を組み合わせで比較すると、長期稼働になる遊技機はある一定の法則が出やすい。

通常、長期稼働になりそうな台は、導入後1週間後ぐらいに、徐々に噂になりメーカーへ在庫確認の問い合わせが増加し、中古機価格相場の高騰が目立つようになるのが一般的であるが、それが他者よりもかなり早い段階で掴むことができるようになるのは、ホール関係者の皆様であれば、それがどの程度凄いことなのか、お分かりになっていただけると思う。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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