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【コラム】短時間出玉上限の制限による弊害と注意点

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コラム:ぱちんこ開発者の独り言

●短時間出玉上限の制限による弊害と注意点
規則改正に伴い、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準が変更されたことは記憶に新しい。今一度、出玉率の上限下限についてのおさらいをしておくと、下記の通りとなる。

<ぱちんこ旧基準
1時間 出玉率下限なし 出玉率上限300%
10時間 出玉率下限50% 出玉率上限200%

<ぱちんこ新基準>(2018年2月より施行)
1時間 出玉率下限33% 出玉率上限220%
4時間 出玉率下限40% 出玉率上限150%
10時間 出玉率下限 50% 出玉率上限133%

ここ数カ月、様々なところで議論されてきたので、ご存知の方も多いであろうため、詳細な説明は割愛させていただくが、ざっくりとしたポイントの1つとしては、標準的な遊技時間(4時間)における遊技機の遊技球獲得性能に係る基準が新設された。あとは、下限がしっかりと設けられたことと上限を抑えられたところになるわけであるが、今回は1時間(短時間)における出玉率の上限が300%から220%に引き下がったことに関して、ポイントになる部分を言及したい。

まず、発射時間が1時間ということは、アウトは6,000個である。また、出玉率より旧基準機と新基準機では下記のような出玉上限となる。

1時間当たりセーフ出玉上限
旧基準:18,000個→新基準:13,200個

また、これはセーフとなるので、払い出し玉が全てカウントされることになる。例えば、通常中のベースや電サポ中のベース(確変ベース)なども、全てこれを超えてはならない。仮に実射試験において1時間ずっと電サポ中だった場合(BA80と仮定)大当り以外の払い出し出玉は4,800個(80個×60分)にも及ぶため、旧基準であれば大当りで13,200個払い出す余裕があるが、新基準では8,400個以上大当り出玉があった時点で不適合となる。

この出玉率の最終確認は、保通協の型式試験業務における実射試験において判断されるため、出玉性能が高めのスペックが、たまたま保通協の試験にて基準内の出率で推移すれば適合する可能性はある。しかしながら、万が一適合すればラッキー的な思惑で、一度に同じスペックを大量に持ち込むなど、明らかに不正な意図を持ち保通協に持ち込むと、当然のことながら注意され、酷い場合は何らかのペナルティが科せられる可能性がある。そのようなことをするメーカーは殆どないが、1機種ぐらいはチャレンジスペックを持ち込むことは間々ある。

どちらにしても、上記にある通り、今年の後半から本格的にリリースされてくる新基準下における遊技機は、短時間出玉率の上限がかなり厳しく制限されるため、開発としてはどうしても短時間出玉対策を取らざるを得ない。一番出玉性能が高くなるところは「大当り」であるのは間違いないので、如何に「大当りまで1秒でも長く間もたせさせるのか」という部分が今後は重要になってくる。

具体例を挙げると、旧基準ではあるが「北斗の拳7」にて確変中にバトル勝利で2,400個が確定するが、図柄が揃ってからアタッカーが開くまで、意外と長い。これは、上記にあるように短時間出玉対策を行った結果といえるだろう。

ある程度、短時間対策のため、間もたせをする必要があるので、それは仕方がないと思って割り切るほかはないが、その間もたせの方法などによって各社違いが出てくる可能性は高い。そのため、その部分に注意し、ホール責任者は機械選定を行う必要性が出てくる。そこは、導入前の実機を試打しないと、見えてこない部分だからだ。

逆にいえば、上記内容を踏まえた上でスペック性能を演出含めて分析すれば、メーカー発表の出玉性能が高い割に間もたせが多くストレスの溜まりやすい台や、運よく適合したチャレンジスペックを掴みとれるチャンスが上がるともいえる。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。

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