コラム:ぱちんこ開発者の独り言⑪
●設定付きぱちんこの可能性(前編)
皆様は既にご承知だとは思うが、規則改正によってぱちんこにも設定が認められることになった。簡単な経緯としては、釘調整無しでもホールの割数調整を可能とするために今回の規則改正にて認められたものである。現段階では今後、どのように経過していくか不透明な部分はあるが、今わかる範囲での話と未来予測をしてみたいと思う。
規則はあくまでも規則であり、解釈次第で可能性が広がる。これは法治国家における日本においても、様々な法律に置いて日々議論されているものである。遊技機規則も同様で、文面だけでは不可能であると思われること、また、議論を深めていけば間違いなくアウトであるものも、今までの歴史や経緯などを含め、総合的に勘案し、認められているものもある。その中でも代表的なものの1つにパチスロの「設定示唆演出」というものがある。
意外と思われるかもしれないが、設定示唆というものは、規則的にアウトであるのが大勢の見方である。スロットにおいては先人たちの知恵と工夫、その時々における保通協(及び警察庁)の判断によって、勝ち取ってきたものであるが、ぱちんこにおいては、それらは0スタートで考えなければならないため、スロットがOK(現行規則において)だからといって、ぱちんこでも同様に新規則でOKとはならない。と解釈しているメーカーや開発者も無くはない。
前回までのコラムでも書いたが、ぱちんこはパチスロに比べ、日工組(JAMP等を含めた)というメーカーの結びつきが非常に強い。一枚岩になって交渉を進めるということは、ある種、警察庁の意向を忖度する方向でもある。その代わり、警察は大ナタをふるうことも少なく、致命傷を避けることができるという側面もあるので、何ともいえないところではあるが、日工組が忖度した結果、ぱちんこにおいて設定示唆演出が0になる可能性は否定できない。
さて、設定であるが、規則改正において、以下のように定められている。
「作動確率の値のうち高いものの低いものに対する比率が10倍を超えるものでなく、かつ、当該比率が設定ごとに異なるものでないこと」
作動確率とは大当り確率と認識してもらえばよい。つまり、低確率と高確率を設定によって変更することが可能であり、低確率から高確率になる場合は、10倍が上限(これは現行規則でも同様)そして、その比率は設定ごとでも一定であることということである。簡単な例を用いると、下記のようになる。
(例)
設定1:低確率1/300 ⇒ 高確率1/30(10倍アップ)
OK設定2:低確率1/290 ⇒ 高確率1/29(10倍アップ)
OK設定3:低確率1/250 ⇒ 高確率1/25(10倍アップ)
NG設定3:低確率1/250 ⇒ 高確率1/50(5倍アップ)
設定によって確率を自由に変更させることは可能ではあるが、低確率と高確率の比率は常に同一でなければならない、ということが規則から読み取れる。
次回コラムでは、実際どのような形で運用され、どのようなスペックとしてリリースされるか。について、考察していきたいと思う。
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。