パチンコ編⑤では、市場低迷の象徴である5連リミッターが解除された平成11年~内規改正により時短の搭載が認められた平成14年を振り返ります。平成14年には「パチンコパチスロ産業フェア2002」が開催され、各メーカーが競って豪華なブースを出展するなど、今振り返ると、業界はまだまだ元気のある時代でした。
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CR海物語3R
『ギンパラ』をデジパチ化して大ヒット!
業界を苦しめた5連リミッターが撤廃されたのが1999年。そして、この年を代表することとなったのが『CR海物語3R』だ。大当たり確率は1/315.5、出玉は約2,300個、確変率1/2で1回ループ、リミッターは100回というデジパチである。
液晶サイズは異なるものの、演出は名機『CRギンギラパラダイス』をほぼ踏襲しており、安心して打てる面白さがあった。魚群がアツいのは当然として、泡からのスーパーリーチでも、泡すらないノーマルリーチでも適度に当たるため、リーチ中にハズレを確信してガッカリすることがまずないゲーム性がファンを魅了した。
また、新たにプレミアムキャラのサムが追加された。ダブルリーチ時にマリンちゃんの代わりに登場するポージングリーチ、珊瑚礁を持ち上げて登場するマッスルリーチは、初見のファンの度肝を抜いた。
なお、本機より早くデビューした『CR海物語S5』は5連リミッター機で、ほかに現金機の『海物語7』なども登場した。
CR天才バカボンV
ステップアップ予告を流行らせた立役者!
あの「天才バカボン」とタイアップしたことで、大きな話題を呼んだ機種。そのインパクトは『CRルパン三世』にも引けを取らないものだった。
演出は、原作にならってハチャメチャ。それを上手く表現したのがステップアップ予告だ。ウナギイヌ→本官→レレレのおじさん→パパ→バカボンと、キャラが登場すればするほど期待度がアップする。
また、最初に普通のウナギイヌではなく白ウナギイヌが登場すれば、それだけで信頼度が大幅にアップした。ほかにも、背景をママとハジメちゃんが通過すれば激アツ、救急車なら全回転リーチ確定といった法則がふんだんに盛り込まれていた。
リーチは基本的にノーマルから始まり、中図柄が画面の手前に出てくればスーパーに発展する。全回転を除くリーチには「ならでは当たり」という、「天才バカボン」ならではのコミカルな復活アクションが用意されており、完全にハズれるまでは望みを持てるようになっていた。
大当たり確率は1/315.5、出玉は約2,150個、確変率1/2で1回ループと、当時としては標準的なスペックである。
CR必殺仕事人Z3
震えるハンドルにファンはしびれた!
人気時代劇とのタイアップ機。演出のほとんどが2Dアニメで構成されているが、実写映像も使われている。
ハード的な特徴は、何と言っても震えるハンドルP-vib。デジタル回転開始時に震えれば、大当たり確定となる。スーパー発展時にも震えるが、こちらはデフォルトのため大当たり確定ではない。いずれにせよ、アツさを文字どおり体感できる機能は業界初である。
予告はステップアップがメイン。泥棒→主水→揉み合い→捕獲の4段階で、最後まで行けばスーパーリーチ確定となる。ほかにアツいのが盤面上部の青いランプが点滅するハイパーフラッシュ予告で、デジタル回転開始時に発生すればスーパーリーチの期待大、リーチ時にも発生すれば激アツだ。
ノーマルリーチ後に背景の障子が開き、頼み人演出が入ることが大当たりへのメインルートで、拳銃、秀、勇次SP、主水SPなどに発展する。お馴染みの「玉ちゃん」は当然プレミアムだ。
スペックは『CR天才バカボンV』とほぼ同じである。
CRピンクレディーX
可愛い、懐かしい、面白いで大ヒット!
「歌パチ」という新しいジャンルを確立した機種。伝説のアイドル「ピンクレディー」の曲がふんだんに用いられているのだ。デフォルメキャラのピンクレディーは可愛らしく、女性ファンが多かったのも特徴。
内規変更により大当たり終了後の時短が認められたため、スペックは以下のようになっている。
大当たり確率は1/326.5、出玉は約2,150個、確変率1/2分で1回ループ、確変終了後に時短100回転。全大当たり終了後に100回転の時短が付く『〜W』『〜WE』の兄弟機もある。
演出は『CR天才バカボンV』の流れを汲んでおり、安心感と面白さがあった。
ステップアップ予告は、モンスター→UFO→ピンクレディー→デカペッパー→オールキャストの5段階。最初が白モンスターなら期待度アップとなる。
リーチは、ヒット曲と同調してピンクレディーの2人と図柄が変動する。スーパーリーチおよび楽曲は、「ペッパー警部」「ウォンテッド」「サウスポー」などだ。
ワープゾーンに入った玉のヘソ入賞をアシストする磁石付き回転体があり、玉の動きも面白い機種だった。
CR新海物語M27
100万台オーバーの大ヒットを記録した名機
内規変更により、CRデジパチは確変終了後に時短100回転というタイプ(通称ハーフ時短)と、全大当たり終了後に時短100回転というタイプ(通称フル時短)に二分される時代となった。
この『CR新海物語M27』はハーフ時短機で約75万台、そして兄弟機『〜M56』はフル時短機で約25万台、2機種合わせて100万台を超える大ヒットを記録した!
前作の『海物語』と大きく異なるのは、液晶の大きさと縦横の比率。横長でマリンちゃんが太って見えた欠点(!?)がなくなり、『ギンパラ』の液晶を巨大かつ美麗にしたように改善されたのだ。マリンちゃんは細身でより可愛くなり、サムはより凛々しくなった。
演出面では、波紋リーチがなくなって黒潮リーチが追加されたり、プレミアムの赤魚群が追加されたりといった変更点がある。が、『ギンパラ』や『海物語』の良いところを変えなかったことが最大の特徴であり、大ヒットにつながった大きな要因だ。
蛇足だが、本機は初めて青色LEDを多数使用したパチンコ機でもある。
まとめ
平成11年からは『海物語』と『タイアップ機』の台頭が顕著な時代でした。
スペックはほとんど全ての機種が確率1/315前後で、確変率が50%という金太郎飴状態で面白くもなんともなかったのですが、その分、液晶演出が一気に発展!
新人パチンコ編集者の私はホールにデータ採取の実戦に行き、予告とリーチの出現回数などをメモ帳に取って、それをまとめて記事にしたものです。
『海物語』は楽だったけど、『バカボン』や『仕事人』は演出が多彩過ぎて、メモをする手が腱鞘炎になるくらい大変でしたね。
■プロフィール
青山シゲキ
1991年、高校卒業後にパチンコにハマり、5年間のパチプロ生活を経て某パチンコ雑誌編集者へ。編集長として数百冊のパチンコ攻略誌を世に出す傍ら、パチンコ番組や漫画の監修、情報屋、新台コンサル、パチ台専門カメラマンなどなど、パチンコ業界の何でも屋として活躍中。現在47歳。
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