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【コラム】2018年ぱちんこ市場動向についての所感

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ぱちんこ開発者の独り言61
今年も残り1ヵ月となったが、今年も業界全体としては激動の年であった。ここ数年、業界を取り巻く状況が刻一刻と変わり、それに対応していくだけでも精一杯の方も多いであろう。昔とは違い、その変わりゆく状況をインターネットやSNSを使い、容易に情報を取得できるようになったが、一方で、出所不明の情報に右往左往することも多くなったように感じる。

さて、2018年におけるぱちんこ機であるが、1/300以下のスペック帯であるハイミドルスペックと、1/200前後のスペック帯であるライトミドルスペックの2種類のスペック帯が堅調に推移した年であるのだが、初代「ぱちんこCR真・北斗無双」や「CR大海物語4」、「CRF戦姫絶唱シンフォギア」など今年販売された遊技機では無い(=それ以前に販売された)機械の活躍が目立つ年でもあった。

あくまでも仮定の話ではあるが、今年販売された遊技機は、旬のスペック提案や、タイムリミットがある中での開発だったために、作りこみや面白さの追求ができなかった結果、大ヒットに繋がる機種開発ができなかった可能性を否定できない。

2018年に販売された遊技機の殆どは、規則改正前における駆け込み申請で適合した機械を中心にリリースされたこと、1回の大当り出玉が2,000個を超えるスペックを中心としたハイミドルに注目が集まったことなどから、メーカー側が積極的にハイミドル機種開発を推進し、ホール側もそれに同調した結果、それがユーザー動向に影響を及ぼしたともいえる。

一方で、ここ最近のぱちんこ機は、日工組による「のめり込み」対策としての内規による大当り確率1/320以上、通常ベース30、ヘソ賞球数4個以上の対策により、通常ベースが上がり当たりやすくなったことなどから、2、3年前に比べ投資金額が緩やかになった。このことによるリターンの減少によって、勝負を求める層はハイミドルへ、ある程度の金額でリターンを期待する層はライトミドルへといった流れが生まれた結果、ミドルスペック(1/250前後)や甘スペックの印象がぼやけてしまった感は否めない。

以上のことなどから、ハイミドルスペックは4円ぱちんこ市場における設置シェアは50%を超え、ユーザーに最も支持されるスペック帯となった1年であった。

新基準機のぱちんこ機は概ね良好の感触を得ており、来年2月に継続率撤廃されることにより、非常に多種多様な遊技機が断続的にリリースされていくであろうことが考えられる。規則のタイムリミットが無い中での開発でもあり、2018年にリリースされた遊技機に比べ、機種開発期間にも余裕がある場合が多く、また、スペック性能に関しても概ね相違ないレベルの機種開発が可能なことから、ホール側における売上や粗利額に関しても、マクロ市場における稼働の上下は別にして、遊技機単体としては、それほど大きく変わらない形での運用が可能である。

一方、パチスロ機は違う。現状、設置されている5号機、新基準機である6号機の売上や粗利額を見比べていただければ一目瞭然であり、6号機中心時代は今現在よりも全体売上や利益が落ちるのは自明である。

それに、ぱちんこに比べパチスロ支持層は高知識層の割合が多く、設定にもシビアである。また、6号機スペックの性能により、甘めの運用でなければユーザー支持率が大幅に下降することも想像されることなどから、ぱちんこが更に厳しい運用になる可能性が高い。

2007年の規則改正後に、5号機当初のスペック性能が大幅に下降したことにより、ぱちんこの運用が厳しくなり稼働減少の一途を辿ったのは、当時を知る業界人であればご承知の通りである。ぱちんこが良くなる可能性がある今、無策で走れば一気に潰えてしまう事を、ここに記しておく。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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