【コラム】遊技規則でピックアップされない部分/ぱちんこ開発者の独り言

ぱちんこ開発者の独り言56
以前、当コラムにて「携帯連動サービスの是非」というコラムを寄稿した。その時のコラムでも記載したが、遊技機は遊技規則において「情報入力はNG」となっており、情報出力に関しても規則でがんじがらめになっている。

多くのぱちんこ開発者と話をすると、「出玉規制は、時代の流れで仕方がない部分があるので、情報入出力に関しては遊技性を高めるために緩和してほしい」といった話が、ここ最近よく出る。

アミューズメント機器をインターネットに接続しての様々なサービスは、他のアミューズメントでは極一般的に行われているが、ぱちんこパチスロでは、規則でNGのため実現は不可能であり、しばしばユーザーからリクエストを頂くイヤホンジャック(イヤホンやヘッドホン端子の差込口)も規則的にNGである。

その昔、平和が「CR神龍物語」という台をリリースしたのだが、当該機には液晶上部にカメラが搭載されており、そこで撮影された画像が液晶上に表示されるという画期的な仕組みを搭載。大当りラウンド中には、過去の大当りしたユーザーの顔写真を記憶し表示するという、ある種、カオスな機能が搭載されていたのだが、前述の通り、この機能自体、厳密にいえば「(カメラで取得した)情報を遊技機に入力する」という観点から、これ以降、この機能はNGになった。

「CR神龍物語」のカメラ画像表示機能があれば面白い機械が作れるというわけではないのだが、この一見、全く問題なさそうな機能であったとしても規則的にはNGなのである。

ここまで規則が頑なな原因として、不正(ゴト)対策の一環という部分が主な要因としてあげられる。そもそも、遊技機は不正対策に関して、かなり慎重であり、規則によって不正対策されないように部品やプログラム、情報系統などが細かく取り決められている。

例えば、メイン基板からは情報が出力されるのだが、メイン基板は情報を入力することは一切禁じられている。これは、メイン基板が主に大当り抽選に係る基板であるため、少しでも情報が入力されることを懸念してからのことである。

確かに、メイン基板のように出玉性能に係る部分に関しての規制は理解ができるのであるが、出玉性能に一切影響を及ぼさない情報を遊技機にインプットすることまで、なんでもかんでも規則で縛ることは無いと思われるのだが、そこは慣例に従って、メーカーとしても強く陳情せず、今までおざなりになっていた部分でもあろう。

規則改正や規制緩和等の話が持ち上がると、すぐに出玉の部分のみをピックアップするのは業界人の悪いところである。多種多様な機種開発を推し進めていくのを推進するのであれば、出玉に関係のないところに関しては、緩和していく方が業界の活性化に繋がると考える。

既にメーカー開発者の中からも、そのような声が出ているのは間違いないので、ホール、ユーザーも声を上げていただき、日工組一丸となって警察と交渉にあたってもらいたい事案である。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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