●ぱちんこ開発者の独り言51
設定付き新基準機が、ぱちんこメーカー各社からリリースされ始めたが、その殆どが甘手のスペックであり、ミドル帯スペックの登場はもう少し先であろう。先行にはなるが、各スペックの種類によっての特徴を今回のコラムで書きたいと思う。
【設定付きぱちんこスペックの特徴】
・確変ループタイプ
主に、設定付きだと初当たり確率(低確率)が変化する。当然のことながら低確率に合わせて高確率も変化するが、全体としては設定差を体感しにくい。
・ST機タイプ
設定付きだと、初当たり確率(低確率)は勿論、ST中の確率(高確率)が変化することにより、継続率が変化することとなる。そのため、設定付きぱちんこのスペック分類としては、設定差を非常に感じやすい部類になる。
・転落抽選タイプ
設定付きだと、初当たり確率(低確率)は勿論、高確率が変化する。別途抽選される転落確率は設定による差が発生しないため、結果として、継続率が変化することになるため、設定差を感じやすくなる。
・1種2種タイプ
設定付きだと、初当たり確率(低確率)が変化する。1種2種タイプには、高確率状態が存在しないため(シンフォギア等、右打ちRUSH中は低確率の時短状態である)、設定差を初当たりでしか体感できないため、全体としては①の確変ループタイプ同様、設定差を感じにくい(厳密にいえば、ほんの少し継続率は変化するが、体感するレベルまでの継続率に差を出すのは非常に難しい)。
・小当りRUSHタイプ
設定付きだと、初当たり確率(低確率)と、小当りRUSH中(高確率)の期待出玉が変化する。小当りRUSH中では、設定が良ければ良いほど、小当りRUSH中に大当りが来やすくなるため、高設定では小当りRUSHの期待出玉が低く、低設定では小当りRUSHの期待出玉が高くなる。ようは、高設定は全体的な勝率を高くさせ、低設定でも一撃の性能が高設定よりも高くすることが可能となるわけである。
また、小当りRUSHには、確変ループタイプとST機タイプの2つのスペック分類で構成することが可能であり、ST機タイプでスペック構成すれば、さらに継続率を変化させることも可能である。
設定付きぱちんこのスペックは大きく大別して、5つの分類に分けることができるのであるが先日、高尾から発表された「P沼」はこれらに含まれないので、当該スペックについても言及しておこう。
この「P沼」のスペックは、2R×62回セット大当りという、一度初当たりをすれば規定回数の大当りが約束される通称「セットタイプ」である。全ての大当りが2Rで構成されているため、初当たり確率を非常に高確率にできるという特徴があり、「P沼」に関しては、設定C(設定1)は1/15.9、つまり最も低い設定でも約16分の1で4,836個(払い出し)の大当りとなる。
余談ではあるが、原作では釘調整による設定としてA、B、Cとあるのだが、それに合わせた形で「P沼」では、設定を数字ではなく、アルファベットで表現しているらしい。
閑話休題、この「P沼」のようなスペックは豊丸の「餃子の王将」が先駆けであり、一度大当りすれば大量出玉がほぼ約束されたスペックであるのだが、セット回数が多くなればなるほど、設定が悪ければ悪いほど、1回の大当り消化に時間がかかるようになる(設定に合わせて高確率も比例するため、低設定であればあるほどセット回数を消化するのに時間がかかる)。その結果、設定推測という点においては、当該スペックが最も体感しやすいともいえるだろう。
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。