全ての遊技機が射幸性が抑えられた新規則機へと入れ替わり、これから新たな遊技環境がスタートします。
一方で、日本国内外の社会経済情勢をみますと、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を皮切りに、大きな変化が次々と起きており、業界にも影響が生じています。
各種の変化が世界規模で起こる中で、最近、ESGという言葉をよく耳にします。
環境、社会、ガバナンスという3つの観点に配慮した行動をとることが求められ、また、これらが重要な評価基準の一つとなっています。業界も当然、その例外ではありません。
特に貴協会では、「社会的地位の向上」を旗印の一つに掲げ、どのようにして業界全体の社会的評価を上げていくかを大きな課題と認識されています。
そこで、本日は、環境、社会、ガバナンスという3つの観点から、業界を取り巻く課題を整理し直し、貴協会に期待するところをお話ししたいと思います。
まず、「環境」との関わり合いについてです。
業界では、他の業界と同様、CO2排出量削減などに取り組んでいますが、業界独自の課題として思い当たるのが、「遊技機の廃棄」についてです。
今回の規則改正に伴い撤去された遊技機についても、相当数の遊技機が倉庫等に保管されていると聞いています。現時点で、廃棄処理のペースは問題ないとも聞いていますが、最後の最後まで、遊技機の適正な管理・廃棄が確実に行われる必要があります。
この点、貴協会では、旧規則機の撤去に伴う廃棄の問題が懸念されていることを踏まえ、ホール営業者を始めとする遊技機の排出に関わる事業者に向け、遊技機リサイクルに関するこれまでの業界の取組や排出方法を取りまとめた「遊技機適正処理ガイドブック」を発行したと承知しています。時宜にかなった良い取組みと評価しています。
遊技機の適正廃棄は、業界が当然果たすべき責任の一つです。これまでも遊技機メーカーを中心に廃棄システムが整備されてきていると承知していますが、それが果たして万全なものとなっているか今一度検証の上、引き続き必要な対策を講じられることを期待しています。
次に、「社会」との関わり合いについてです。
ぱちんこは、かねてより「身近で手軽な大衆娯楽」として親しまれています。
また、ネットゲームやウェブ上の娯楽と異なり、店舗内の「リアル」な空間で楽しまれる遊技です。ぱちんこ店の数は、かつてと比べ減少しましたが、それでも令和3年末で8,458店舗あり、全国各地で地域に根差した営業をしています。
このように、ぱちんこは、「地域の人たち」に一時の気晴らしや潤いを与え、「地域社会」に根差すことで、大正・昭和の時代から親しまれてきました。この本質は、今後も変わらないものと思います。
業界がこれまでも、地元の方々の雇用のほか、防災活動や災害時の支援活動、社会福祉施設への支援、街の清掃活動など、地元に役立つ活動を多岐にわたり展開してきたのも、ぱちんこの地域密着性の特徴から理解されます。
貴協会の団体会員でもあるMIRAIぱちんこ産業連盟では、東日本大震災の被災地復興支援の一環として、被災地域の清掃活動やイベント開催のほか、地元特産品をぱちんこ賞品として一定量を買い取るなど、特産品の新たな商品開発を含め、その販売をお手伝いし、地元産業の復興にも貢献されたと聞いています。
工夫を凝らした取組と感心した次第です。また、貴協会ではSDGsPTを立ち上げ、今後の活動方針について議論を始めていると聞いています。
ぱちんこ業界は、大きな産業です。これからも「同じ地域社会の一員として何ができるか」という視点からの活動を期待しています。
また、のめり込みや依存の対策についても、同様の観点から取り組むべきものと認められます。
ぱちんこは、多くの人に楽しみを与えますが、人によって、あるいは、同じ人でも時期によって、遊技が過度になってしまうことがあります。これは誰が悪いということではありません。ただ、現実問題として、のめり込み・依存問題で困っている人、あるいは御家族がおり、その方から「店に来たら止めてほしい」と頼まれたときには、しっかり受け止め、誠実に応えることが必要です。
特に御家族の心情は察するに余りあります。繰り返しとなりますが、「自己申告・家族申告プログラム」の導入とその運用改善等に取り組むとともに、「地域の関係機関と連携した取組」に力を入れていただきたいと思います。
貴協会におかれては、のめり込みや依存防止のため、基本計画に掲げられた、自己申告・家族申告プログラムの積極的な導入、利用者の負担軽減のためのマニュアルの作成、同プログラムの実効性向上のための各種取組のほか、ATMの撤去等の面で業界をリードされてきたと評価しています。引き続き、業界をリードする取組を期待しています。