12月23日、遊技産業未来研究所主催の未来研究会セミナーが開催された。2020年最後のセミナーとなった第54回は、PRCの中田藤生代表取締役(チャーリー・ロドリゲス・湯谷氏)、ユニークワークスの菅野翔氏、遊技産業未来研究所の中野忠文代表取締役社長と島田雄一郎取締役副社長ら4名が講演した。
中田代表取締役は、「不確実な時代のパチンコ店戦略とは?」を演題に、今後も経営環境は目まぐるしく変化することからも今必要なこととして、問題や課題を一つ一つ丁寧に解決するだけの対応力と組織力の強化を挙げ、今後は社会から企業、店舗、個人の意思表示が求められ、さらには他店より優位に立つためにもマーケティング力の強化、技術力の向上も不可欠になると強調。
また、格差がついた集客力の現状も分析。中田氏は「固定客化が出来ていない」「お店のことを忘れられている」などと仮説を立てたうえで、ユーザー離反が進む中、最重要課題である「リピート促進」を実現させるための施策を脳の認知「3の法則」を元に提案。「全体顧客のうち1回きりの顧客は70%で、単にリピートしないのはシンプルに忘れられている可能性が強い。忘れられないためにも来店後の会員分析、フォローDM、情報発信と段階を踏んだアピール戦略、特にコロナ禍での営業ではAIDMAを基本に『選ばなきゃならない理由』を提供することが重要」だとした。
さらに2021年の注力事項として、数年はコロナが終息することはないと言われることからもコロナ前の約2割減を想定した経営を基本に①売上・稼働の維持②BEP(損益分岐点)管理の徹底③パーソナル化・非接触スタイルの接客等の3点を重要視してほしいと呼びかけた。
菅野氏は、2021年1月から本格的に認定切れを迎える「沖ドキ」を撤去した後の営業手段を解説。「凱旋」「沖ドキ」の撤去で稼働と売上低下が予測される中、「自店の損益分岐を把握した上で分岐点より下回らないような営業が求められる。ユーザーの選択機種が限られ、店舗の同質化が始まった時にどこで差別化するのか。朝から打ちたいお店として候補に挙がるためにも『選ばれる価値の創造時代』に突入するだろう」と指摘した。
そのための原資として、全国データから見る違和感の気づきが重要だとし「自店データと全国データを比較しながら正常値、違和感を見つけることが大切。出率とコイン単価を参考に、競合店よりいかに早く出率の変化に気付けるかがポイント」とまとめた。
遊技産業未来研究所からは、中野忠文代表取締役社長と島田雄一郎取締役副社長が講演。島田副社長は業績アップを実現した店舗が行った施策として、組織の変革や過去の常識からの逸脱を実例を交えながら解説し、店舗(店長)が必要な10項目知識などを披露した。
中野社長は2020年を「コロナ・旧規則機撤去・原則禁煙が大きな影響を与え、想定していた旧規則機撤去のほか様々な外部要因で苦しい1年だった」と振り返ったうえで、「今年は多くのメーカーからキラーコンテンツの続編機種が登場したが、置いただけでの『機種なり運用』では将来に繋がらない。仮説だとしても成功の要因、失敗の要因を考察することで将来の運用施策に活かすことができる。機種選定、運用方法、増減台と経験が未来に活きるために思考の癖付けを」とまとめ、2021年は店舗の柱としてP機育成を最優先に今年の運用をあらためて見直し、来年、再来年へ繋げる計画を立てるべきだと語った。