余暇進の秋季セミナーで警察庁の齊藤課長補佐が講話

次に、射幸性の抑制に向けた取組についてお話しします。

射幸性の抑制に向けた取組として、業界を挙げて、新基準に該当しない遊技機の撤去に努めていると承知しております。そのうち、「特に高い射幸性を有すると区分した回胴式遊技機」については、本年1月31日までに各営業所における設置比率を15%以下とする全日本遊技事業協同組合連合会の削減目標が延期され現在に至っているものと承知しております。こうした削減目標については、その再設定に向けて現在検討されているとも承知しているところ、仮に目標を再設定するにしても、ぱちんこへの依存問題等により、ぱちんこ業界に対し、国民から厳しい視線が向けられる中、新たな目標が世間からどのように受け止められるかなどをよく認識した上で、いずれにせよ、業界全体として真摯な取組を進められることを期待しています。

次に、検定機と性能が異なる遊技機の問題についてお話しします。

誠に残念なことですが、営業所において遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、いまだに継続して発生しております。これまでにも、そのような事案は射幸性の適正管理を侵害する悪質な不正改造事案であると申し上げているところ、それでもなお行われるくぎ曲げについては、とりわけ厳しく取締り等を行う必要があると考えています。貴団体におかれましては、こうした問題の絶無に向けて積極的に尽力されることを期待いたします。

次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。

まず、悪質巧妙化している不正改造に対処するため、ぱちんこ営業者、遊技機製造業者という垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で模索し、効果的な施策をより一層推進していただきたいと思います。

また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構においては、本年度上半期だけでも1,500店舗以上に対して立入検査を行い、10,000台以上の遊技機等を検査するなど、精力的な活動を継続していただいております。その結果、不正改造等の容疑が認められたとして都道府県警察に通報がなされた事案は減少しているところではありますが、いまだに散見されるところでもありますので、業界として引き続き緊張感を持って不正改造の絶無に向けた取組の推進をお願いいたします。警察といたしましても、今後とも、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。

さらに、先ほど申し上げたとおり、ぱちんこ営業所における依存防止対策の実施状況調査についても、今年度中の調査開始に向けた準備が進められているものと承知しております。業界においても、例えば、既に推進機構から各営業所に対して「承諾書」の様式等が送付されているものと承知しているところ、こうした書類を速やかに推進機構へ提出していただくなど、この調査が早期かつ実効性をもって実施されるよう、推進機構への支援等をお願いいたします。

次に、ぱちんこ営業の賞品に関する問題についてお話しします。

まずは賞品買取事犯の根絶についてです。

賞品買取行為の規制違反は、いまだに継続して発生しています。賞品買取行為の規制は、ぱちんこ営業と賭博の一線を画す重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わるものであることから、警察といたしましても、賞品買取事犯に対しては引き続き厳正な取締り等を行っていくこととしておりますが、貴団体におかれましても、今一度、営業者一人一人にまで、賞品買取行為の規制の重要性について周知徹底していただきたいと思います。

次に、賞品の取りそろえの充実及び適切な賞品提供の徹底についてです。

平成18年にぱちんこ営業者関係5団体によりなされた「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」について、今一度、この決議の重要性を認識していただきたいと思います。

また、今一度、各ぱちんこ営業者にあっては、自身の営業所の賞品が等価交換規制を遵守したものとなっているか確認していただくようお願いします。

最後に、広告・宣伝等の健全化の徹底についてお話しします。

広告・宣伝等の規制については、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をそそるものや、隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案がいまだに発生しております。こうした広告・宣伝を行うことは、現在業界で進めているぱちんこへの依存防止対策に逆行する行為にも当たるのではないかと思います。このような違法な広告・宣伝等については、今後も指導・取締りを行っていきますが、健全化が警察の指導・取締りによってではなく、業界自らの取組によって進められるよう努めていただきたいと思います。

加えて、広告・宣伝については、基本計画において、本年度中に、全国的な指針を策定し公表することとされています。業界として、基本計画における取組を着実に推進していく上で、こうしたぱちんこへの依存防止に資するような広告・宣伝の在り方についても、他の業界における広告・宣伝に係る自主規制等も参考として、しっかりと検討していただきたいと思います。多くの人の目に留まる性質を有する広告・宣伝だからこそ、その広告・宣伝に係る依存防止対策が適切にとられているのかという点についてはとりわけ国民からも注目されやすいものだと思いますので、その点を十分認識の上、取組に遺漏のないようにお願いします。

以上、ぱちんこ営業の健全化を推進する上で特に留意していただきたい点を申し述べました。

ぱちんこ産業は、遊技人口が減少傾向にあるとはいえ、なお、非常に多くの方々が参加している娯楽産業であります。現在業界にとって取り組まなければならない各種課題は、ぱちんこへの依存防止対策をはじめとして山積しております。この各種課題は、必ずしも風営適正化法上のものに限られるものではなく、例えば、来年4月には改正健康増進法が全面施行されるところ、こうした法令も遵守した営業が営まれる必要があることは言うまでもないわけでありますが、いずれにせよ、ぱちんこが健全な遊技たり得るため、各種課題に業界が一丸となって一つ一つ迅速かつ真摯に対応していただきたいと思います。他方で、今後とも健全化を含む各種課題に真摯に対応する皆様から要望等があれば、我々も真摯に耳を傾ける所存です。

貴団体におかれましては、今後とも国民的な娯楽産業としてのぱちんこ営業の健全化に向けて一層尽力されることを期待しております。

結びに、貴団体のますますの御発展と皆様方の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。

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