マルハンの韓社長、京楽産業.の榎本社長がパチンコ業界の未来へ提言

左より、京都造形芸術大学の植島啓司教授、京楽産業.㈱の榎本善紀代表取締役社長、㈱マルハンの韓裕代表取締役社

2月12日に都内千代田区のグランドアーク半蔵門で開かれた日遊協設立30周年記念式典では、日遊協の新経営者会議のメンバーである㈱マルハンの韓裕代表取締役社長、京楽産業.㈱の榎本善紀代表取締役社長、さらに有識者の京都造形芸術大学の植島啓司教授が登壇し、パネルディスカッションが行われた。テーマは「遊技文化考~産業の本質から未来へのアプローチ」で、㈱ワールド・ワイズ・ジャパンの濱口理佳代表取締役が司会者を務め、今後のパチンコ業界の発展に向けた提言などが、各パネラーより語られた。その内容を一部抜粋して紹介したい(※以下、敬称略)。

濱口(司会)
榎本社長、メーカーの立場として、パチンコの本質を踏まえ、ファンに楽しんでもらうにはどのようなことが必要だと思いますか。

榎本
弊社では、パチンコ機の魅力作りには「射幸性」と「ゲーム性」、それに「コンテンツ性」、これらの掛け算が大きいと考えています。とは言え、ここ何年かは、毎年のように射幸性の抑制が続き、昨年に至っては規則改正により2/3程度に射幸性が抑制されることとなりました。

今の状況では、ゲーム性の幅を広げること等が必要で、それがないと、パチンコ機としての魅力が下がり、どんどんファン離れが進んでいってしまうことを懸念しております。

また元々、射幸性と依存問題にどういう因果関係があるか、そこもまだはっきりしていません。日遊協の依存防止問題研究会などで、適正な射幸性を随時、検討する仕組みを作って頂き、メーカーとしては射幸性とゲーム性の多様化、最大化を土俵として作った上でメーカーが切磋琢磨するという形が、ファンに楽しんでもらう上で、一番大事かなと思っています。

濱口(司会)
「のめり込み」という部分で遊技機開発の制限が掛かっているのですが、「依存」や「のめり込み」問題、これはパチンコに限らず、例えばゲームなど色んな遊びで WHO(世界保健機関) が動いています。植島先生、「依存」や「のめり込み」をどう捉えておりますか。

植島
人間、生きるというのは何かに依存するということですからね、依存がいけないと言ったら何もできないじゃないですか。例えばチョコレートだってアイスクリームだって依存なんですよ。それをちゃんと対応しないといけないという苦労は、しんどいと思うのですが、人生の喜びは依存からくるわけで、その記憶が幸福な記憶として残っていくわけです。それを抑制したり全面的に禁止したりするのは、時代に逆行していると僕は思います。

濱口(司会)
韓社長、ホールの立場として、パチンコの本質を踏まえ、どのようにパチンコの楽しさをファンの方々に伝えることが相応しいとお考えでしょうか。


パチンコの楽しさをファンに伝えていくのは大変重要なことです。しかし、その前に私が最近感じることは、安心という土台をいかに作り上げることができるのかということです。

当社も顧客に対して提供する価値を整理しているが、私達なりの顧客に対する価値の定義というのは、「小さな感動をたくさん積み上げていきましょう」ということです。その小さな感動をたくさん積み上げていくためには、まずは安心という土台が必要です。その上に非日常的な刺激や空間があり、それともう一つが、やすらぎという日常性です。

ただし、安心という土台が、社会に対して正確に伝わっていないことが、安心の土台を揺るがす一つの要因になっています。その意味では、遊技産業が社会との接点の中で、適切なコミュニケーションや情報の伝達ということが実現され、誤解がなくなることで、安心の土台が構築されていきます。

安心の土台を作り上げるには、依存問題にも向き合っていかなければなりません。依存とは何なのか、世界の依存対策の潮流やその効果がどうなのかということを、我々は知る必要性があります。

濱口(司会)
次のテーマは、これから遊技産業はどのように進化していくのかについて話を進めていきたいと思います。世の中はすごいスピードで変わりつつあり、テクノロジーの進化、産業構造の変化、社会環境の変質は、人々の認識も大きく開いていく要素となります。

こうした社会においてどのようなパチンコ、パチスロが必要と言えるのでしょうか。キャッシュレス、超高齢化、外国人の増加、カジノ開設、人口減少、新たなテクノロジーなどこの辺りの要素を踏まえて皆さんにお話を伺いたいと思います。

榎本
携帯電話やインターネットと繋がることによって、例えばホールにおいては、キャッシュレスによる遊技が可能となり、パチンコ機で言えば、射幸性やゲーム性の改善という条件が付くが、ハードはメーカー共通とし、基本的にはソフトの入れ替えに近い状態にしていくほど、大幅なコストダウンが実現します。また機械の入替にしても、ソフトを自動的にダウンロードするだけとし、今の携帯ゲームみたいに日々少しずつアップロードすることによって、稼働を長持ちさせるなど、簡単に良くなりそうな部分はたくさんあります。

また、そういうことをやることによって、若い人たちが遊技するキッカケになるほか、不正監視の強化もできると思います。

濱口(司会)
韓社長にお伺いしたいのですが、これからの世の中で、遊技産業はどのような位置付けとなるのでしょうか。


現在、世の中的には「働き方改革」ということで政府や我々も取り組んでおります。「働き方改革」が進む中で、余暇や働く以外の時間の充実が問われる時代になってくるのではないでしょうか。

その意味では、我々の余暇市場においての貢献がますます重要になってきます。人生の豊かさを実現していくためには「働き方改革」と、もう一方での「遊び方改革」があって、豊かな人生の「生き方改革」が初めて成立するのではないでしょうか。遊技産業が果たすべき役割が、そこにあるのではないかと思っています。

長らくCSR経営というものが言われてきたが、現在はいわゆるCSV(共有価値の創造=事業を通じて社会へ貢献するという経営概念)という、我々の産業の活動そのものが社会に必要とされて貢献を果たしていくという形、次のテーマはそこに尽きるのではないでしょうか。「遊び方改革」をキーワードとして社会の役割を果たすことが重要と考えます。

濱口(司会)
5年後10年後、激変する社会情勢や人々の生活を予想して、遊技産業はどのような新たな試みが求められると思いますか。

榎本
変化に対応していくものだけが生き残るというダーウィンの進化論ではないですが、その中で「射幸心」や「ゲーム性」等という部分を適正化するという土俵作りと、安心や安全を担保しつつ、最新テクノロジーにより進化させる、その第一歩が管理遊技機になってくるのかなとも理解しています。

遊技産業がポピュラーになるには、例えば秋葉原ではアニメやアイドルなど元々、オタクと呼ばれた人たちの文化が、現在ではポピュラーでクールジャパンと言われるほどになっており、参考になるかなと思います。弊社もAKB48の事業を携わらせてもらった際、最初はあんなニッチなものがどうなるんだろうか、周りにも言われたが、結果的にはAKB48を大好きな人達が引っ張ってくれました。

世の中の流行り方が変わってきているなか、遊技産業としても現在、ファンとして残り、パチンコが大好きな人に引っ張って行ってもらうことで、アニメやアイドルに負けない唯一無二のクールジャパンと言われるような文化に進化するしかないかなと思っています。


我々のコスト構造、サービスのオペレーションが無理をきたしているのではないかと思っています。例えば日本の人口構造の変化の中で人件費はますます高騰していき、サービス産業の人手不足は既に大きく深刻化しています。その中で遊技産業の労働人口を考えた時に、これは直近の問題として深刻化が進むでしょう。玉積みを前提としたサービスのオペレーショ等については、将来のコスト構造を踏まえると、手を入れていかなければなりません。

また遊技業界の中でキャッシュレス化をどう捉えていくのかについては、運営コストも大幅に削減できる可能性を秘めていることと、お金の流れが完全見える化に向かっていく可能性があります。

もう一つは新たなテクノロジーとは逆のことになるが、それが進むほどコスト効率や利便性が格段に進化していき、人の手を介さない、例えばロボット化が進んでいくことがあるのかも分かりません。しかし、世の中のもう一つの課題としては、人の心の部分のところがクローズアップされていく可能性があるのではないかと思っています。社会問題として、高齢化や孤立化などが社会課題としてクローズアップされる中で、我々は地域に根ざしたコミュニティセンターといえる業として、人と人との触れ合いが我々の価値として一つあると考えています。

我々の目指すひとつの文脈として人のふれあいを作っていくことができれば、先ほどの CSV という、産業そのものが社会の課題に対してしっかりと貢献できる形が見出されるのではないかと思っています。

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