最優先課題は引き続き依存防止対策/警察庁保安課・山田課長による講話

誠に残念なことですが、営業所において遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、いまだに継続して発生しております。これまでにも、そのような事案は射幸性の適正管理を侵害する悪質な不正改造事案であると申し上げておりますが、依然、客寄せ等営業者側の都合により入賞口付近のくぎを開け閉めしていた事案が発生しているところであります。

こうした問題が続くようであれば、業界の信用は大きく損なわれてしまいます。

昨年の規則改正では、射幸性の抑制の観点からではありますが、ぱちんこ遊技機にも「設定」の導入が認められ、皆様方の営業の自由度も高まり、結果としてくぎ曲げの抑制にも資するものと考えています。したがいまして、こうした改正を踏まえてもなお行われるくぎ曲げについては、とりわけ厳しく取締り等を行う必要があると考えています。

今後はくぎに関する問題を生じさせないという意識が、遊技機製造業者、ぱちんこ営業者の枠を超えて、業界の方々に広く定着することが必要だと考えております。貴連合会におかれましては、正しい認識を全国の各組合員に理解していただくよう周知徹底を図ることはもとより、業界全体をリードして、こうした問題の絶無に向けて積極的に尽力されることを期待いたします。

次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。

近年の不正改造の手口を見ると、不正改造された主基板に他の遊技機から取り出した主基板ケースやかしめを組み合わせることで、主基板ケースやかしめに不正改造の痕跡を残さず、外見上不正改造の発見を難しくした事案、不正改造した遊技機の設置場所が変わっても当該遊技機の位置を特定するためにGPSを付加するといった事案、払い出される遊技メダルを不正に増加させるため、払出しに係る信号を誤認識させる不正な基板を主基板に取り付けるといった事案が発生しているなど、ますます悪質巧妙化しています。このように悪質巧妙化している不正事案に対処するため、ぱちんこ営業者、遊技機製造業者という垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で模索し、効果的な施策をより一層推進していただきたいと思います。

また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、もはや業界の健全化に欠かせないものとして、その役割の大きさを皆様も実感されているところではないかと思います。活動開始以来、立入検査店舗数が本年度の上半期までに2万7千店舗を超え、また、検査台数も約20万台を上回り、特に本年度上半期における検査の結果は良好であったと聞いております。これは、推進機構の活動が抑止効果という面で成果を挙げている証左だと思います。加えて、立入検査を独自に実施する団体等に対する助成事業や平成27年6月から実施されている遊技機性能調査についても、業界の健全化を進める上で、有意義な取組の一つであり、さらに、各営業所において依存防止対策が適切に行われているか、点検を実施していくことも予定されていると承知しており、推進機構の果たす役割はますます重要性を増してきているものと考えています。ただ、このような推進機構の活動に対する業界の理解は徐々に深まってきていると感じる一方で、いまだに推進機構の活動に対する理解が低い関係者もいると聞いています。

推進機構の活動が効果的に行われるためには、推進機構に対する各営業所の理解が不可欠であります。遊技機の不正の減少は推進機構の活動がもたらす抑止効果の表れであることを認識していただき、引き続き、業界全体で推進機構の活動を支援するなど、不正改造の根絶を目指す気運を高めていただきたいと思います。警察といたしましても、今後とも、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。

次に遊技機の流通における業務の健全化についてお話しします。

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